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文学研究会の活動がようやく

しばし、沈黙の後、文学研究会の女子たちは、顔を見合わせる。

そして、女子たちだけで、ヒソヒソ相談が始まった。


長谷川直美

「この話も、部外秘にすべきなのでは?」

花井芳香

「書道部・・・似合いそうな気もするけれど・・・教えたくない」

佐藤美紀

「音楽部の女どもは、全員派手目だ、コンサートに行きましょうなんて誘って、何をするかわからん」

志田真由美

「運動部は、剣道部と空手部に入らないって言い切ったんだから、下手に入るとトラブルを招く」

長谷川直美

「そうなると、部外秘決定だね」

花井芳香

「あえて、こちらから言う必要はなし」

佐藤美紀

「華音君が自ら、文学研究会に訪れたという気持ちを尊重すべきだと思う」

志田真由美

「とにかく、華音君が入ると言うまで、この部屋をださないとか?」


最後の志田真由美の言葉が決定的だった。

女子たちは、全員、顔を見合わせて、「ウン」と頷き、

部長の長谷川直美が、グイと押す。

「華音君、ここの部に入って欲しいの」



さて、華音は、女子たちのヒソヒソ話を何も聞いていなかった。

それよりも、書棚に収められた本に注目していた。

しかし、部長の長谷川直美から、「入って欲しい」と真顔でお願いされれば、何かを言わなければならない。

「あ・・・はい・・・それは、かまいません」

とまで答えて、一応入部する意思を示す。


その華音は、言葉を続けた。

「ただ、最初の質問なのですが」


長谷川直美他、女子たちはキョトン顔。

「何だっけ・・・それ・・・」

華音が「この学園では、どのような活動を?」と聞いたことなど、さっぱり覚えていない。


華音は、仕方がなかった。

「はい、話が違う方向に行ってしまいまして」

「つまり、前期、ここの部はどんな研究をなされていたのですか?」

「それと、今期の計画などあれば、教えていただきたいのです」

ここで、ようやく、文学研究会訪問の目的を言うことが出来たのである。


長谷川直美は、華音の言葉に苦笑。

「あ・・・ごめんなさい・・・ついつい華音君が可愛くてね」


「可愛い」と言われても、それでは話が進まない。

華音は長谷川直美の次の言葉を待つ。


長谷川直美は、真面目な顔に戻った。

「あのね、前期は、イギリス文学のディケンズの二都物語を、原書から翻訳」

「それぞれの訳を、全員で批評し、検討したの」


華音は、面白そうな顔。

「へえ・・・フランス革命時のパリ、貴族と、イギリスのロンドンでしたっけ」

「複雑なあらすじでしたね」


長谷川直美と女子たちは、華音の言葉にうれしそうな顔。

長谷川直美が話を続けた。

「今期は、再び英語の勉強も兼ねて、コナン・ドイルのホームズ物か」

「あるいは、源氏とか伊勢物語とかも、考えていたの」


三年生の佐藤美紀が華音に、グッとすり寄った。

「ねえ、華音君なら、どうしたい?」


長谷川直美を含めて、華音の答えを、研究会全員が注目している。


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