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華音の校内見学、そしてテニスコートに

少々、出発に際してスッタモンダがあったけれど、雨宮瞳と何人かのクラスメイトによる、三田華音の校内見学、部活見学が始まった。


雨宮瞳が、

「ここが図書室」「そしてあそこが音楽室」「保健室はここね」などとテキパキと説明し、三田華音はフンフンと頷く程度になるけれど、ついて来たクラスメイトは、ついつい大はしゃぎ。


図書館の前になれば、

「華音君は、どういう本を読むの?」

「文学研究会だから専門的なの?」

「こんど教えてね、一緒にね!」

となるし、


音楽室の前に来ると、

「どういうアイドルが好きなの?」

「可愛い女の子のアイドルが好きだったら、妬けちゃうなあ」

「声がやさしいから、今度カラオケに一緒に行こうよ」

となり、


保健室の前では、

「保健室の先生、色っぽいから誘惑されないでね」

「絶対一人で来ないで」

「体調悪かったら、私も誘って」

などと、意味不明な解説?まで付け加えられる。


また、そんな大騒ぎをして歩くものだから、三田華音の校内見学は、他のクラス、他の学年まで広がって、注目を集めることになった。


「あの子なの?転校してきた子って・・・」

「何か、可愛いというよりは、美人」

「うん、整った顔している」

「でも、冷たい感じはないよ、癒し系?」

「時々笑う顔は、メチャ可愛い」

など、概ね、評判がいいようだ。

さて、雨宮瞳は、華音への校舎内の説明をほとんど終えたので、

「じゃあ、華音君、次にテニスコート、グラウンド、体育館、剣道場、プールに行くよ」

と声をかけた。


華音は、ここでも素直。

「はい、助かります」

と、雨宮瞳に続いてグラウンドに出る。

また、お付きのクラスメイトも、二人に続く。


そして、最初はテニスコートの前に。

すでにテニス部の部活動が始まっており、実際に打ち合っている人たちもいる。


雨宮瞳は、その様子をじっと見て、

「今、打ち合っているのは、二年生の先輩、都大会でもいつも三位から上の人たち」

「私も、早く追いつきたいなあって思っている」


華音も、興味深そうに、打ち合う姿を見ている。

そして、

「本当に上手ですね、足の運び方、ボールを打つフォームがきれいです」

「正確に相手のボールが落ちるポイントを見切って、最短距離で詰めて」

などと、ポツリポツリ。


雨宮瞳は、その華音の言葉にドキッとした。

「え?華音君、テニスやったことあるの?文科部系でしょ?」


そして他についてきたクラスメイトも、目を丸くする。

「華音君、マジで専門的なことを言っている」

「うーん・・・何者?」


ただ、そんな質問を浴びせられた華音の表情が、少し変わっている。

華音は、誰の質問に応えず、テニスコートで打ち合う二人を凝視。

「あの左側の女の人の右足があれ?あぶないかな・・・これは・・・」

しきりに、ブツブツとつぶやいている。

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