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剣道や格闘をめざさない理由とは?

空手部顧問松井は、結局、華音に支えられて、必死に立ち上がった。

その姿を見て、吉村学園長が、空手部練習場の中央に歩いて来た。


吉村学園長は、まず、空手部員全員に声をかけた。

「あなたたち、剣道部もそうしてもらったけれど、華音君の格闘技術については、この場所限りにしてもらいたいの」

そこまで言って、まだ意味がわからないような空手部員に

「もし、これが、学園内に広がれば、必ず、学園外にも広がる」

と、そこまで言うと、数名気がついた部員がいる。


「必ず、華音君と立ち合い希望をしてくる奴がいる」

「学園におしかける?」

「いや、通学路とかさ」

「家の周りとか」

「華音君に直接逢えないと、私たちに取り入ったり」

「性質の悪い輩は、人質作戦とかね」


吉村学園長は、その反応を是とした。

「だから、ここの練習場限りとするのは、華音君の身を守ると同時に、自分たちと、この学園を守るためなの」


華音は、申し訳なさそうな様子。

「ごめんなさい、僕のために、余計な心配をおかけして」


空手部松井顧問が、華音に尋ねた。

「とてもかなわない技術だったけれど、やはり、格闘技、剣道もそうだけれど、日本一を越えて、世界にも十分以上に通用すると思う」

「それを極める意志はないのかな」


その質問には、剣道部顧問佐野や、全ての空手部員も注目して、華音の答えを待つ。


華音の答えは、

「それは、全然、考えたことはありません」

「剣道にしろ、徒手格闘にしろ、あくまでも身体の鍛錬と、いざという時の自衛技術、相手を倒すとかの目的では、ありません」

と言い、少し笑う。

「そもそも、去年の戦いも、両師匠が勝手に申し込んだだけ」

「仕方なく出たんですけれど、地下鉄で迷って、本当に焦った思い出しかなくて」


壁際から、空手部主将剛が歩いて来た。

そして、華音に頭を下げた。

「申し訳ない、朝は」


華音は、笑って首を横に振る。

「いえいえ、鋭い突きでした」

「合気を使いました」

「大丈夫ですか?」


剛は、頷いた。

「ああ、なんとか・・・さっきまで足が震えて」

「あれは、本気の技?」


華音は、首を横に振る。

「いや、普通に、剛さんの動きに合わしただけ」

「本気も何も、関係はありません」


吉村学園長が、華音に声をかけた。

「ねえ、華音君、華音君が剣道とか、格闘部をめざさない理由、文学を目指す理由を、ここで発表したらどう?」

「その方が、みんなスッキリすると思うけれど」


華音は、少し考えた。

そして、ゆっくりと話しはじめる。

「本当に、ご心配をおかけ申し訳ありません」

「剣道とか格闘をめざさない理由は、先ほども申した通り、あくまでも身体の鍛錬と自己防衛の手段としか、考えていないため」

「それと・・・剣道や格闘の場合は、どれほど強くても・・・」


華音は、そこで、少し、沈黙。

目を閉じて、言葉を選んでいるようだ。


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