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華音とお昼を食べると、美味しくなる?

華音は、じっと見つめて来るクラスメイトに、また微笑んだ。

「そろそろ、食べましょう」

何のことはない、目の前にお弁当があるのだから、食べましょうという意味。


しかし、ほぼ華音の動きに注目するしかなかった面々は、ハッとした顔。


「それはそうだ、当たり前だ」

「食べるために、こうして机を寄せたんだから」

「ふむふむ、おかずは何だろう」

などと言って、それぞれのお弁当箱を開けて、食べ始めようとする。


と、その時、華音がまた、新しい仕草。

自ら持ってきた柿の葉寿司弁当に手を合わせ、


「いただきます」


と、つぶやいたのである。


「う・・・」

食べ始めようとしていたクラスメイト全員の箸が止まった。


「私もする」

「うん、当たり前だけど、私もする」

「ほーーー・・・久しぶりだ、こんなの」


と、結局、全員が「いただきます」をして、食べ始めることになった。



さて、食べながら話は進む。

「華音君はいつもいただきますって言うの?」


華音

「はい、子供の頃から」


「礼儀正しいね、しつけかな」


華音

「このお弁当を作ってくれた人にも、たとえばお米にでも、いただきますって言うことにしているんです」


「ふーん・・・考えたことない」


華音

「一粒の米にしても、その種から始まって、様々な人の努力、風にもやわらかい風もあったり激しい風があったり、水の管理、台風もあったりで、こうやって食べられるようになるまで、いろんなことがあったのかなあと思うと」


「そういえば、そうだよね、全ての素材がそうだ」


華音

「だから、心をこめて、いただきますって」


華音がそこまで言って、また微笑んだ時だった。


一緒に食べていたクラスメイトの顔が変わった。


「あれ?味が違うって感じ」

「いつものお弁当だよ、母が作ったお弁当だけれど、いつもより美味しい感じ」

「今までは、あまり考えないで、バクバク食べていたけれど、うーん・・・美味しい、ゆっくり食べる」

「普通のレンコンの煮物が、どうしてこんなに美味しいの?」

「私のホウレンソウの炒めものも・・・美味い・・・マジ?」


とにかく、全員が、本当にいつもより美味しいらしい。

かといって、バクバク食べるわけではなく、味わって食べている感じ。


「それにしても・・・」

雨宮瞳は、華音を見て、首を傾げている。


「本当に、ほんわか系だなあ」

「もうこれで、溶け込んでいるって感じ」

「でも、特別な派手なことは何もなく」

「何となく、一緒にいたいって感じかなあ」

「やさしいよね、とにかく」


そんな状態で、華音を囲んでの「お弁当の集い」は、ほんわかと進んでいる。

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