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調査開始(6)フロントトラブル

テレビクルーは、赤ら顔のフロント係の制止には応じず、華音の前に来た。


柳生寛は、マイクを手に華音に質問。

「何かトラブルのようですが?」


華音は、不安げなホテルのフロントなど見ずに、「そのまま」を話す。

「ネットではシングル二泊で予約完了になっていたのですが」

「フロントに来たら、ホテル側で処理を忘れて、ツインで二泊に」

「それで料金は約2倍で現金払い」

「気に入らなかったら、キャンセル料を払って帰れと・・・それがホテルの見解のようで」

「ただ、急にテレビクルーが見えたら、そこの女性フロントが予約の通りにと」

「何が何だか、わかりません」


マイクを持った柳生寛は、少し大げさ目に呆れた顔と口調。

「それは、お客様が混乱しますよね」

「行政にも、これは報告しないといけません」

「何しろ、行政の依頼を受けての取材ですから」


すると赤ら顔のフロント係が、ますます顔を赤くする。

「何だと?お前ら!」

「親切に取材を許可してあげたんだ!」

「それを、こんなちっぽけなミスを報告するだと?」


フロントの若い女性も、文句を言い出した。

「行政に報告って何です?」

「出来るものなら、やってみてください!」

「こちらでも、それなりの対応をします!」


しかし、柳生寛は笑っている。

「それなりの対応ってのは、この先生のこと?」と、タブレットを見せる。

タブレットには、「高校生の息子の酒乱動画」「その酒乱動画で記者会見で謝罪する県議」が映っている。


途端に赤ら顔のフロントと若い女性フロントの顔が赤くなり、「本当?」と顔を見合わせている。


柳生寛は続けた。

「何でも、この県議は、他にも突っ込まれることがあるらしくてね」

「国税庁は、このホテルの建設に絡む不正計上の噂、他にもあるらしい」

「地方検察庁は、その背景の指定暴力団との癒着」

「税務署とか警察、保健所まで含めて、指定暴力団を使った不当な圧力も噂」

「そんな情報があるよ」

「当然、ここのホテルにも捜査は及ぶ・・・そんな噂」


フロント係2人が蒼い顔になった時だった。


久保田紀子が歩いて来た。

久保田紀子は。怒り顔。

「ねえ、フロントの人!」

「私、禁煙室って聞いたよ!」

「でも、部屋に入ったら、煙草の匂いがプンプン、ゴミ箱には煙草の空箱!」

「いったい、このホテルってどうなっているの?」

「ほら、全てスマホで写真撮った」


テレビクルーは、久保田紀子の文句をしっかり撮影している。


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