送られる車中での沢田文美と雨宮瞳
玉露と和三盆と、従姉二人の「華音をよろしくお願いします」を受けて、沢田文美と雨宮瞳は、華音の屋敷を出た。
もちろん、自宅まで、華音の屋敷の黒ベンツで送られる。
車の中でやっと落ち着いた二人は、ブツブツ。
沢田文美
「すごい・・・マジ・・・高級車」
雨宮瞳
「この車の中にいるだけで、緊張する」
沢田文美
「華音君は・・・おそれ多い」
雨宮瞳
「従姉のお姉さん方は、頼りないとか言っていたけれど」
沢田文美
「ありえない、そんなの」
雨宮瞳
「華音君、底がしれない」
沢田文美
「マジ、そう思う」
雨宮瞳
「剣道もすごいし、合気道は見ていないけれど」
沢田文美
「彼女になって・・・やがては玉の輿?」
雨宮瞳
「うーん・・・大変かも」
沢田文美
「格式が高そう」
雨宮瞳
「その前に、作法とか、習わないと・・・」
沢田文美
「でも、華音君、可愛い」
雨宮瞳
「先輩、迫り過ぎです」
沢田文美
「うるさい、取ったもの勝ち」
雨宮瞳
「私も負けませんから」
そこまではよかった。
沢田文美
「他の女子も狙う、この実態がわかれば」
雨宮瞳
「転校してきたばかりですしねえ・・・」
沢田文美
「華音君、やさしいしねえ」
雨宮瞳
「見ていて安心できるタイプなんです」
突然、沢田文美のスマホが光った。
そして、スマホの画面を見た、沢田文美の顔が、こわばった。
沢田文美
「空手部の連中・・・気に入らないなあ」
雨宮瞳
「どうかしたんですか?」
沢田文美は難しい顔。
「華音君が挨拶に来ないって、怒っているみたい」
雨宮瞳は首を傾げた。
「華音君は合気道で、空手ではないのに?」
今度は雨宮瞳のスマホが光った。
「剣道部の女の子からです」
「華音君の連絡先を教えてって」
「マジ?自分で聞けばいいのに」
沢田文美は、不安になってきた。
「明日、何かありそう」
雨宮瞳は難しい顔、そして思った。
「母に聞いてみよう、もう少し何かわかるかも」




