国際テロ集団の退治が終わり
日本政府を脅迫した国際テロ集団は、その目的を果たすことなく、壊滅となった。
リーダー格のジャン、ボルコフ、アラン、カマルが戦闘不能、瀕死の状態となり、とてもテロ集団を存続することなどは不可能になった。
そのリーダー格から、その部下まで、ほぼ一人で倒した華音が、海上保安庁の船に戻った途端、官房長官から連絡があった。
「華音君、本当にありがとう」
「日本を救っていただいて」
「首相以下、全閣僚が感謝しています」
華音は、その顔が浮かない。
「いえ、危険な人を倒しただけで」
「僕だけの力ではないので、全員の協力があればこそです」
官房長官
「一度、お礼をしたいので、官邸とも思ったけれど」
華音は、嫌そうな声。
「いえ、それは結構です、単に格闘しただけで」
「まだ、15歳の高校生で、官邸に行けるほど偉くはありません」
官房長官は、そこで少し笑う。
「いや、そうではなくてね、首相の意向で、こちらから華音君にお礼に出向こうかと」
華音は、焦った。
「え・・・本当ですか?管理人に連絡しないと」
「それで・・・僕もいないとまずいのかな」
と、全くまともな対応になっていない。
官房長官は、焦る華音に言い切った。
「これだけの働きをしてくれて、日本政府としてお礼をしないと、気がすみません」
「立花管理人には、こちらから連絡します」
「あまり騒がれても困るので、あくまでもお忍びで」
「わかりました」と、官房長官との連絡を終えた華音に、柳生隆が近寄った。
「華音、振り向いて」
華音が「え?」と振り向くと、華音と一緒に戦った全員が整列して、華音を見ている。
「ありがとう!華音君!」
「すごかった!」
その声がかかると同時に、華音は全員からの、大きな拍手に包まれている。
さて、那覇のホテルで、華音の帰りを待つ女性たちには、随時、松田明美から、連絡が入っていた。
また、結局、瞳も母好子に後押しされ、那覇のホテルに来てしまった。
今西圭子
「とにかく華音ちゃんが強過ぎて、悪者退治は成功と」
シルビア
「相手も華音の戦闘力を知らないから、なめてかかって、返り討ちか」
春香
「晴海ふ頭で待たれるんじゃなくて、海で退治されるなんて、相手は考えもせず」
エレーナ
「その前に香港と台湾で、怪しい食べ物を仕込まれて、彼らは体調を崩していた。あれも華音君と横浜の周さんと陳さんの友情があればこそ」
瞳は、その胸をおさえている。
「華音君、すご過ぎ・・・でも、顔を見たくて仕方ない」
今西圭子
「瞳ちゃん、安心した?」
瞳
「はい、まだドキドキしているけれど」
シルビア
「戻って来たら、肩でも揉むかな、たまには褒めないと」
春香
「そやなあ、クリスマスプレゼントも考えんと」
エレーナ
「ケーキは任せて、お料理も」
瞳はエレーナに迫った。
「あ!私も手伝います!教えてください」
エレーナはにっこりと、瞳を抱きかかえている。




