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国際テロ集団内に異変

香港沖で積み込まれた食事を食べて以降、晴海ふ頭に向かう貨物船の中で、少しずつ異変が発生し始めた。

ジャン以外の幹部連中と、国際テロ集団の格闘部隊約20余名が、身体の痺れを言い出したのである。


ジャンは、怒りを抑えきれない。

「だから、うかつに食うなっていったんだ」

「貧相なアジア人の食い物なんて食うからだ」

「俺のように、あらかじめ用意した安全な物を食えば、こんなことにはならなかった」

ボルコフは言葉がスムーズではないけれど、反発する。

「うるせえ!ジャン」

「多少の痺れだ、解毒剤もある。少しすれば、元に戻る」

そのボルコフに反発するのは、アラン。

「解毒剤?飲んでるけど効かねえ」

「だいたいお前が、どうしても中華を食いたいって言うから、こんなことになった、どうしてくれるんだ」

カマルは、目が虚ろ。

「おそらく、何かの動物の毒だ」

「仕組まれたかもしれねえ」

ジャンは、カマルの意見を良しとした。

「ああ、何となく船内を動きたがっていたから、ナイフを突きつけたら、すんなり帰りやがった」

「あの撤退の早さが気になる」

ボルコフは、そのジャンに異を唱える。

「ジャン、お前は神経質過ぎる、その神経質が本番で余計な失敗を招くぞ」

アランは、怒り出した。

「その解毒剤にしたって、俺たちの分しかねえ」

「どこで補給する?さっさと補給しないと間に合わん」

「兵隊が衰弱していたらどうする、テロも何もねえじゃねえか」

カマルも機嫌が悪い。

「おい!ジャン!一人だけまともなんだ」

「さっさと買う算段を立てろ」

「どうせ、おれらはテロリスト、まともな港には接岸できねえ」

「だから当てにならない闇の奴らしか、使えねえ」


文句を言われ続けたジャンは、ようやくタブレットを手に取った。

「この馬鹿野郎ども」

「そもそも手前らの不始末じゃねえか」

「物資調達まで、俺の仕事じゃねえ」


ただ、ジャンがそんな文句を言ったところで、痺れが激しくなる一方の他のテロリストを見ると、ジャン自身が動くしかない。

「台湾か・・・仕入れられそうなのは」

「しかし、香港も台湾も、同じ中国人たちだ」

「二度も中国人に騙されるわけにはいかない」

「そうかといって、次に仕入れられそうなのは沖縄か」

「米軍基地もある、俺の顔もボルコフもアランもカマルも、おそらく知られているから、いつ感知されるかわからない」

「兵隊も痺れがひどい、このままでは確かに戦闘には使えない」

「そもそも、沖縄までは、時間がかかり過ぎる」


ジャンは決断した。

「少々のリスクはあるけれど、台湾だ」

「台湾で薬を仕入れる」


そこまで決断して、タブレットを使って、預金の残高照会を試みる。

「まあ、これぐらいは安心だろう」

「少し高めに金を払い、安全な薬を仕入れよう」

「下手に値切るから、危険なものを仕入れる羽目になる」


その残高照会を試みたジャンの表情が、蒼ざめた。

「何だ?警告表示だと?」

「どうして残高照会のページに飛ばない?」

「IDもパスワードが違う?既に変更済み?」

「変えたことはないぞ」


ジャンは焦り出した。

「おい!これでは現金が引き出せない」

「この画面に入れなければ横須賀沖で決済にも使えない」

ジャンは、タブレットを手に、硬直状態になっている。

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