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出現!柳生霧冬VS華音

文化勲章を受章した万葉集の大家の屋敷は、千歳烏山。

高い木々が立ち並ぶ、かなり広い敷地の奥に、立派な純日本家屋が建っている。

華音は、珍しく緊張している。

「場違いのような・・・帰りたい」

今西圭子は、その華音のお尻を叩く。

「男の子でしょ!何をうろたえるんや」

「華音ちゃんらしくもない」

華音は、それでも緊張している。

「なんか、妙な気みたいなのを感じる」

「面倒な気」

今西圭子は、その華音の反応が面白い。

「ほーーー・・・さすが華音ちゃんや」

「もう気がついた?」

今西圭子が、その言葉を発した瞬間だった。

華音は、ストンと身をかがめた。

と、同時に、華音の頭の上から、男が降って来た。

おそらく高い木の上に潜んでいたのだろうか。

今西圭子が驚いて、身をかわすと、華音の声。

「もーーー!やめてください!こんなところで!」

華音は、降って来た男を、軽くかわし羽交い絞めにしている。

年老いた男の声も聞こえた。

「華音!痛い!離せ」

「頸動脈に食い込んどる」

しかし、華音は簡単には羽交い絞めを解かない。

「だめです、何もしないって、約束できます?」

「このまま、これを解いたら、後ろ蹴りするでしょ?」

年老いた男は、華音の反論も予想していたらしい。

「ああ、そのつもりだったんやけど」

とまで言って、華音の羽交い絞めから、逃れようとする。


今西圭子は、そんな攻防に呆れた。

「もーーー!霧冬先生!」

「それから華音ちゃん!」

「これから大先生に逢うんです!」

「お遊びはやめてください!」


高い木の上から華音を襲った年老いた男は、柳生霧冬だった。

柳生出身、柳生事務所の最初の長、日本及び世界の格闘界において、「鬼神の霧冬」とまで畏れられる程の比類なき実力により、警察庁から自衛隊まで、数多く弟子を持つ。

そして華音を幼少時から鍛え上げた師匠である。


華音は、なかなか羽交い絞めを解かない。

それどころか、文句を言い続ける。


「師匠・・・たまに逢ったらこれですか?」

「どうして普通に、こんにちはができない?」

「すごく寂しかったんですから!」

「去年の合気道と空手の大会だって、勝手に申し込んで」

「優勝とかどうでもよくて」

「帰りの地下鉄で、迷って泣きたくなるし」

「こっちに来たら、超面倒で」

「テロやら事件やら」


しかし、柳生霧冬は、その文句の連続を狙っていたようだ。

華音の呼吸の瞬間に、スッと身体を動かし、華音の羽交い絞めから、その身体を解放する。

そして、そのまま、恐ろしく速い回転胴回し蹴りが、華音の脳天を襲う。

しかし、華音も、その動きを読んでいた。

そのまま、頭上の霧冬の右足首をはらうように叩くと、霧冬は身体ごと空中で一回転、地面に叩きつけられそうになる・・・しかし、華音はスッと両腕を差し出して、霧冬を受け止めてしまい、また素早く羽交い絞めにしてしまう。


今西圭子は怒った。

「もーー!二人ともやめて!」

「いい加減にしなさい!」


華音は、今度は羽交い絞めをスッと解き、後方に数歩下がった。

おそらく、霧冬の間合いを避けるためになるけれど、霧冬は攻撃の雰囲気はない。

「ふ・・・まあまあ・・・合格や」

鬼神の霧冬は、華音に笑いかけている。


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