美少女アイドルを救え!(2)
華音は柳生隆に尋ねた。
「ねえ、隆さん、どうするの?」
柳生隆はクスッと笑う。
「華音の役目は、アイドルの救出・・・華音は見ればわかる女の子」
「シルビアと春香、エレーナも協力」
シルビア
「隆さんと明美さんで、マスコミを排除する間に、私たちがアイドルのマンションに入る」
春香
「アイドル本人には連絡済み」
エレーナ
「もちろん、同じ部屋にいるマネージャーにも」
華音が意味不明でいると、松田明美がいきなりホイッスル。
そして大音声。
「そこのマスコミ!警察です!車をどけなさい!」
「近隣住民の生活権を侵害して何が報道の自由ですか!」
「それから、ここの車だけではないよ!ここらへんに違法駐車している全ての車両!今、ナンバーを全て調べます!」
「駐車禁止違反にされたくなかったら、さっさと正規な駐車場に駐車しなさい!」
その松田明美の言葉と同時に、柳生隆が群がるマスコミと違法駐車車両を撮影し始め、大混乱となる。
最初は呆気に取られていた華音は、すぐに混乱に乗じて走り出し、マンションの敷地の中に入る。
その華音に、シルビア、春香、エレーナも続く。
マンションの管理人にも連絡はつけてあったようで、すぐに玄関の警備も外され、そのまま内部に入ることが出来た。
管理人は、華音を見て、頭を下げた。
「ありがとうございます、華音君、最上階の7号室です」
と、どうやら華音を知っている様子。
華音は、「ん?どこかで見たことがある」と思うけれど、旧交を確認している時間はない。
そのまま、エレベーターに乗り、最上階に向かう。
エレベーターの中で首を傾げる華音にシルビア。
「柳生事務所の黒田スタッフのお父さんだよ」
「このマンションは柳生事務所のものなの」
驚く華音に春奈。
「それでね、そのアイドルも柳生出身なの」
「清楚な感じで、人気がある」
エレーナは少し笑う。
「でもさ、華音君にアイドルって言っても、知らないよね」
「奈良の山の鹿とか猿のほうが詳しい」
華音は、ムッとするやら残念やら。
「また田舎者扱いして・・・でも・・・そうかも・・・その話題は無理」
さて、そんなことを言っていると、エレーナは最上階に到着。
全員で7号室に向かうと、足音を察知したのか、7号室のドア少しだけが開いた。
そして聞こえて来たのは、涙声。
「・・・華音・・・君?」
華音は、その声にも、少し聞き覚えがある。
また首を傾げながら、「はい、華音です」と答えると、ドアが大きく開かれる。
次の瞬間だった。
声の主、つまりアイドルが華音の腕を思いっきり引っ張り部屋の中に。
そのまま、華音にむしゃぶりついて来た。
「あーーー!華音君!」
「華音ちゃん!結衣だよ!」
「怖かったよーー」
「来てくれたーーー」
「待ってたーーー」
と、完全大泣き、その顔を華音の胸にぴったり押し当て、腕は華音の背中に回っている。
華音に続いて部屋に入った、シルビアと春香は肩をすくめ、エレーナはムッとしている。




