銀座でもよく食べる女性たち
銀座は歩行者天国、そして浅草と同じ多国籍化した街。
しかし庶民の街感が強い浅草とは異なり、やはりおしゃれで豪華な雰囲気に包まれている。
長谷川直美が華音に尋ねた。
「ねえ、華音君は、何回か来たことがあるの?」
華音は、即答。
「そうですね、東京のお屋敷に来る時は、祖父と必ず来ました」
その華音をシルビアが補足。
「うん、あそこで、華音は必ずミルキーを買うの」
春香も続く。
「それを、シルビアと私がほとんど奪い取る、で、華音は泣き顔」
シルビア
「その泣き顔がメチャ可愛いの」
春香
「どこかに写真残っているかも」
そんな話が聞こえてきて、瞳は思った。
「結局、このお姉さまたちは、華音君をこうやって遊んできた」
「かわいそうな気もするけれど、泣き顔の写真も見たい」
またしてもシルビアと春香にやり込められた華音は、ようやく反撃開始。
「最近ね、リンパマッサージが好きになった」
「どうせ屋敷に帰ると、やって欲しいって言うでしょ?」
「シルビアと春香、後で試してみる?」
「泣き顔写すかな」
途端にシルビアの顔が変わった。
「それ・・・だめ・・・ごめん」
春香の顔が青い。
「えーっと・・・なでるくらいなら」
ようやく反撃が成功した華音にエレーナ。
「ねえ、あの和菓子屋さんに入りたい」
「羊羹は食べたことがあるけれど、他のを」
すると、他の女性陣が一斉に和菓子屋に向かって歩き出す。
華音は、「浅草であれほど食べて、まだ食べる?」と思うけれど、多勢に無勢、結局、その老舗和菓子店に入ることになった。
「うわ、さすが超一流店!」
「この水菓子がきれい、芸術的」
「お饅頭を食べてみたい」
「最中も捨てがたい」
「お汁粉?あら・・・今すぐにでも」
「日本最高級の和菓子店の一つ、喫茶もあるし・・・」
そんな話がまとまり、一行は結局、一日二度目の甘味屋入店となった。
「うん、上品な甘み、これもいいね」
「お汁粉が絶品」
「葛切も食べやすいよ、こういう甘味も好き」
「この抹茶が干菓子と抜群に合う」
「最中は煎茶がいいね」
様々に会話が弾むけれど、浅草の時ほどには大騒ぎではない。
やはりハイセンスな街、銀座を意識しているのだろうか。
老舗和菓子店を出た一行は、さすがに満腹。
ウィンドーショッピングをしていたけれど、四丁目交差点を過ぎると、突然ダッシュ。
パン屋の店頭で、「かりんとう饅頭」を女性陣が買っている。
「要するに甘味食べ歩き」と思うけれど、華音は大騒ぎする女性たちを見て安心した。
最初は、迷子続出になると思っていたけれど、案外統率が取れていて困ることはなかった。
そんなことを思う華音に長谷川直美。
「ありがとう、華音君、付き合ってくれて」
「集団デートだったけれど楽しかった」
すでに銀座は夕焼け、華音たちの一行は、大満足で家路につくことになった。




