墨田川クルーズ、浜離宮に。
相当の満腹状態で吾妻橋から水上バスに乗った女性陣は、船が動き始めると、デッキでまた大騒ぎ。
「あらーーー!ゴージャス!」
「墨田川って広いねえ」
「ここから街を見上げると、不思議にかっこよく見える」
「風が気持ちがいい」
「いろんな橋があって、それぞれに町の名前があるんだ」
「下町クルーズみたい」
「あれが佃大橋?」
「そういえば、佃煮ともんじゃ焼きの町でしょ?」
「また、食べたくなったの?」
「うん、だってワクワクするもの!」
さて、華音は、そんな大騒ぎには加わらない。
というよりは、「ガールズトーク」に、全くついていけない。
椅子席に座り、あちこち眺めては、ぼんやりとしている。
その華音に、瞳が寄りそう。
「華音君、ありがとう」
華音の顔は、赤くなる。
「そんなお礼など」
瞳は、そんな華音が可愛い。
「照れないで、本音だから」
華音はデッキで大騒ぎしているお姉さまたちを気にした。
「お姉さまたちに、また言われるよ」
瞳は首を横に振る。
「気にしないもの、今さら」
華音も、ようやく微笑んだ。
「今度は二人きりがいいな」
すると瞳が真っ赤。
「うん、どこでも・・・」
しかし、そんな素敵な雰囲気も、浜離宮に到着して、一旦停止。
全員でゾロゾロ歩く中、他のお姉さまたちから、追及を受ける。
志田真由美
「瞳、途中で華音君と何の話?」
佐藤美紀
「抜け駆け禁止条例を忘れたの?」
シルビア
「でも、華音と瞳ちゃんだから、超健全に決まってる」
春香
「そやな、お子ちゃまトーク、お花がきれいとか」
エレーナ
「綿菓子とか似合いそう、この二人」
ただ、そんな追及も、華音と瞳のピッタリ寄り添い歩きには、通じなかった。
とにかく、ニコニコ、柳に風と吹き流し、銀座の街に向かって歩いて行く。
そして、それを見たお姉さまたちは、お手上げの状態。
長谷川直美
「なんか、悔しいけれど、お似合いだ」
花井芳香
「邪魔したいけれど、熱々オーラが」
佐藤美紀
「絵になるカップルだね、見ていて可愛い」
志田真由美
「それは華音君と瞳のクラスの人も、みんな言っている」
シルビアと春香は、「まあ、そんなところでしょ」と納得しているけれど、エレーナは微妙。
「うーん・・・華音君を射止めたいけど」
「年上過ぎかなあ」
「アピールが不足しているかな」
「でも、邪魔するにしても、瞳ちゃんも可愛いから」
「バトルになって華音君を苦しめても」
そんな状態で歩く一行の前に、銀座の街が見え始めている。




