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華音以上にお姉さまたちが、ご立腹

華音が「駒場公園と日本近代文学研究会見学」の校外活動を終えて、屋敷に戻ると、立花管理人から話があった。


立花管理人

「藤原美里様のおばあ様から連絡がありました」

「とにかく、恩人にひどいことをしてしまった、お詫びでこちらに来られたいとのことで」

華音は意味が理解できない。

「いや、お詫びされるほどのことをしてはいません」

「むしろ、美里様から一緒に出掛けませんかと言われて、考えなしに承諾をしてしまい、おばあ様を怒らせてしまったようです」

立花管理人

「かつて、先々代、つまり華音様のおじい様が藤原美里様のおばあ様とお知り合いだったとか」

華音は驚く。

「へえ、それは知りませんでした」

立花管理人

「藤原美里様のおばあ様がおっしゃるのに、おばあ様がかつてイギリス旅行をした際に、ロンドンでホテルのダブルブッキングにあって、当時は東洋人など格下」

「予約したホテルに泊まれなかったのを、たまたま先々代がそこに居合わせて」

「先々代がホテルに掛け合って、泊まれるようにして差し上げたとか」

華音は頷いた。

「先々代らしいね、困った人を助けずにはいられない」

立花管理人は過去の来客者名簿を確認している。

「そのお礼で、ここのお屋敷にも、おばあ様が来られています」

「数回程度でしょうか」

華音は慎重な態度を変えない。

「誤解が解けたようですが、一度は怒らせてしまったことは事実」

「また、そんな問題が起こっても困ります」

「当分は、藤原美里様のご一家とは、必要最低限のお付き合いとします」

立花管理人も、華音の考えを妥当と思ったようだ。

「どうも、おばあ様のお話を伺っておりますと、家庭内で意思の疎通とか、連絡が円滑に行われていないようです、よその家のことで失礼にはなりますが」

「わかりました、お詫びでこちらに来られることについては、丁重にご遠慮申しておきます」


立花管理人との話を終わり、華音が自分の部屋に戻ると、待ちかねたように、シルビア、春香、エレーナが入って来る。


シルビア

「何となく話は聞いたけど、おばあ様もひどいけれど、美里さんも失礼だよね」

春香

「自分から誘っておいて、おばあ様が許可しないからドタキャンって、華音も慌てるよね」

エレーナ

「お嬢様といえば、そうなるけれど、自立心に欠けると思うよ」

「17になって、何を子供みたいなことを言っているのかなと思う」

シルビア

「まるで華音が危険人物みたいだよね」

春香

「華音が下級生なのにね、むしろ美里さんがリードするべきやけど」

エレーナ

「当分、放っておいたら?」


華音は困ったような顔。

「もちろん、僕から連絡はしないよ」

「またドタキャンされるのも嫌だし」

「今後は誘われても、お断りするのが、無難と思う」

「謝ってきたから、それだけは受けるけれど、お詫び訪問までは必要ない」


今西圭子と松田明美も、立花管理人から話を聞いたようだ。

一緒に、華音の部屋に入って来た。

今西圭子

「華音ちゃん、災難やったな、善意を仇で返されて」

「でも、華音ちゃんの判断が正解やね」

松田明美

「無理してお付き合いする必要もないよ」

「単なる政府の仕事仲間やし」


どうやら華音以上に、お姉さまたちが、ご立腹となっている。


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