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華音に新しい依頼 人麻呂詠唱

文学研究会の浅草行きに乱入を試みるお姉さまたちに疲れた華音は、部屋に戻った。

「あんな人たち、相手にするだけ疲れる」ので、明日の授業に備えて予習をしていると、部屋のドアにノック音。

「誰?」と聞く間もなかった。

そのまま今西圭子が入って来た。


華音は、呆れた。

「圭子さん、僕だってプライバシーがあるの」

「それに、明日の予習をしているの」

「仮にも文化庁でしょ?」

「役人が一般人の勉強の邪魔をしていいの?」


しかし、今西圭子は、そんな華音の抗議は、「どこ吹く風」。

そのまま、華音をムギュッと抱きしめてしまう。


「うふふ・・・華音ちゃん!」

「その文句顔が見たかったの!」

「マジに童顔の美形が、そういう顔をすると、ほんと可愛い!」

「そうそう、そこで苦しそうな顔も、また可愛い」


華音は、本当に苦しかったけれど、何とか顔を動かして圭子の豊胸から脱出。

「圭子さん、遊ばないんで」

「何の用?」


圭子は、うふんと顔を赤らめ、

「そうなのよ、そういえば用があった」

「でもねえ、華音ちゃんと二人きりになると、こうするのが慣例でしょ?」

「慣例は守らないとねえ」


華音は、二回目の「ムギュ」は苦しいし避けたいので、必死に抵抗を試みる。

「だから用って何?」

「僕も学園の勉強とか、忙しいの」


圭子は、そこまで言われて、用件を言う。

「難しくないよ、私のお願いを聞くだけ」

「公務なの、だから反論は却下します」


華音は、それでは内容がわからない。

「圭子さん、つまり文化庁が僕に頼む用件なの?」

「古文とかの話?」


圭子は、その質問で華音を、胸から解放。

そのまま華音の机に向かい、PCを立ち上げてしまう。


華音は、また慌てた。

「圭子さん、どうして僕のPINを知っているの?」

「またしてもプライバシーの侵害?」


しかし圭子は華音の抗議をまたしても鼻で笑う。

「何言ってんの?うちと華音ちゃんの関係や」

「華音ちゃんの、おしめを替えたんやで」

「長くて、深い、切っても切れない仲や」


「うっ」と言葉に詰まる華音は、圭子が示したHPを見る。

華音

「万葉集の夕べ 講演会?」

「すごく有名な先生だね」

圭子

「そや、それに華音君を御招待や」

「知っとるやろ?この先生」

華音は素直に頷く。

「うん、何冊か本持っている」

「で、その日のテーマは・・・人麻呂様?」

圭子

「その先生が華音ちゃんの笠女郎を聞きに来ていたの」

「でね、本番で人麻呂を詠んで欲しいって、お願いなの」

「詳しいことは、私を通じてでも、先生直接でもいいよ」

華音は、反発しなかった。

「高名な先生だし、詠むくらいなら受けるよ」

その華音を、圭子は再び、豊胸で包み込んでいる。

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