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「歌丸VS円楽」が瞳を元気づける。

「古今亭志ん生 古典落語」を手に取り、目を丸くする瞳の肩を、志田真由美がポンと叩く。


「今度ね、みんなで浅草に行くの」

「もちろん浅草寺はお参りするけれど、ついでに老舗ツアーをするよ」

「老舗は、蕎麦の老舗、甘味屋の老舗、洋食の老舗」

「それから笑いの老舗の演芸ホールにも行くの」


長谷川直美が、補足説明。

「つまりね、文化祭で源氏物語をやって、他校だけど万葉集もやった」

「それでね、せっかく東京にいるんだから」

「江戸前も楽しもうと思ったの」


瞳は、ようやく意味がわかったようだ。

「そうなんですね、面白そうです」

「江戸から明治、大正、昭和のレトロ感も好きなんです」


花井芳香が老舗について語る。

「やはりね、数十年の歴史を持つ、その味を確かめたいなあと」

「蕎麦は雷門の前の藪蕎麦」

「甘味屋は梅園」

「洋食はヨシカミ」

「どのお店も定番だけど、味はピカイチ」


佐藤美紀が瞳に尋ねる。

「ところで瞳ちゃん、落語とか寄席の経験は?」


瞳は首を横に振る。

「いえ、テニスばかりで全く」

「落語は、笑点ぐらいで・・・でも大喜利だけかなあ」

「じっくり聞いたことはないです」


ニコニコして聞いていた華音が寄席について説明をする。

「浅草の演芸ホールは、とにかく庶民的で」

「落語だけではなくて、漫才も手品も、漫談もあるかな」

「若い駆け出しも出るし、大ベテランも出る」

「笑点メンバーもたまに出る」

「そういう日は満員になるよ」


顧問の田中蘭も笑っている。

「私も、仕事に疲れた時は、寄席に行くの」

「出て来る人が全て芸達者で、聞き飽きないし、見飽きない」

「程度の低い芸人は出ないよ」

「その芸人の言葉の中から、元気をもらったり」

「下町特有の温かみかなあ、それも好き」

「そういう世界を知るのも、文学研究会としては有益で大切なこと」


長谷川直美

「少なくとも、テレビ芸人を見ているよりは、気分がいいかなあ」

志田真由美

「他人を、ただ貶めて笑うだけとか、他人の不倫で盛り上がって説教するとか、そういう程度の低い芸人は出ないの」

花井芳香

「毒舌を言っても、その言葉の底には、温かみがあるよ」

「それと負けるもんかって、気合をもらえることがある」

佐藤美紀

「つまらない悩みなんて、笑いで吹き飛ばすの」


華音は、PCを操作し始めた。

その華音を見て、長谷川直美が、壁に大スクリーンをおろす。

佐藤美紀

「落語でないけれどね、さっき、瞳ちゃんが笑点なんて言うから」

志田真由美

「歌丸師匠と円楽さんのバトルを見ようかと」

花井芳香

「あれも至芸だよ、言葉とかタイミングとか」


さて、その「歌丸VS円楽バトル」は、テニス部から転部したばかり、まだ緊張気味の瞳を涙が出るほどに笑わせた。

そして、瞳をすっかり新しい部に溶けこませたのである。


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