華音はお屋敷のお坊ちゃま?
華音、沢田文美、雨宮瞳は、久我山の駅を降り、華音の家に向かって歩く。
沢田文美
「ねえ、華音君、古い屋敷って言っていたけれど、日本風の家屋なの?」
華音は、首を横に振る。
「えっと、僕が住んでいるほうは洋館です」
「彼女たちが住んでいるほうは、和風」
雨宮瞳が不思議そうな顔。
「二世帯住宅みたいな感じって言っていたよね」
華音は、頷く。
「確かにつながっています」
「行き来は出来るようになっています」
その華音が道を曲がった。
そして少し歩いていくと、まさに高級住宅街。
大きな屋敷が並び、置いてある車も、高級外車や日本車でも1千万円を超えるようなものばかり。
沢田文美
「すご・・・おそれ多い・・・」
雨宮瞳
「もしかして・・・華音君、お坊ちゃま?」
華音は笑った。
「そんなよその家の車を見て、どうして僕がお坊ちゃま?」
沢田文美
「あはは、それもそうだ」
雨宮瞳
「ついつい、ごめん・・・」
華音の足が止まった。
大きな鉄の門扉に鍵を差し込んでいる。
沢田文美は、驚いた。
「えーーー?ずっとここの門もすごいけれど・・・塀?すっごい長いよ」
雨宮瞳も同じようなもの。
「なんか、メチャ広そう・・・」
華音が門扉を開けた。
「どうぞ、お入りに」
「整理も出来ていませんが」
沢田文美と雨宮瞳が、華音に続いて、恐る恐る門扉の中に入る。
そしてまた驚いた。
沢田文美
「えーーー?すっごい庭」
「和風庭園?小さな池まである」
「桜の樹、梅、リンゴまである」
「松、杉、もーーーわかんない!」
雨宮瞳
「まるで木立、林?その中に洋館と和風邸宅?いったい敷地はどれほどあるの?」
華音は、あっさりと答えた。
「いや、敷地は300坪ほど」
「屋敷というか建物は、僕の住む洋館と従姉二人が住む和風邸宅、それとゲストハウスが一軒、その他には大き目の蔵というか倉庫があります」
華音がそんな説明をしていると、和風の邸宅から、一人の老紳士が小走りに向かってくる。
そして、華音、沢田文美、雨宮瞳の前に立ち、頭を下げた。
華音が紹介した。
「この人が全体の管理人で、立花さん」
「子供だけでは不安なので、面倒を見ていただいています」
驚くばかりの沢田文美と雨宮瞳に、「管理人立花」が再び頭を下げ
「はい、ただいま、華音様の御紹介にあずかりました、ここの屋敷のお手伝いをさせていただいております立花と申します」
と、丁寧なご挨拶。
沢田文美、雨宮瞳は、ここで硬直してしまった。
沢田文美
「華音様って・・・華音君はどういう身分?」
雨宮瞳
「うーー・・・なんか・・・おそれ多い場所にはいりこんでしまった」
二人とも、ほぼ声が出せない。
二人のお辞儀も「沢田と申します」「雨宮と申します」と、カチンコチンになっている。




