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三鷹台vs千歳烏山の攻防戦?

華音は、それでも条件をつけた。

「えっと、あまり人数が多くなっても混乱するばかりになりますし、せいぜい二人くらいで」

「それぞれの方のお帰りの路線などあると思いますので」


雨宮瞳が尋ねた。

「ところで、華音君のお家って、どこなの?」


華音の答えに、周囲に集まっている生徒たちが注目する。

華音は、スンナリと答える。

「はい、井の頭線になりまして、久我山になります」



その答えに、雨宮瞳がガッツポーズ。

「うん、私、三鷹台!」

「すっごい近い!隣!」

「わーーー!これから毎日、一緒に登校しようよ!」

もう、腕も組もうかと、その寸前で大興奮。


沢田文美は、その瞳を見て、苦虫をかみつぶしたような顔。

「瞳!私だって千歳烏山なの!」

「路線は違うけどさ、歩いて行けるもの!」

「それを知っていて、どうして腕を組もうとするわけ?」


珍しく雨宮瞳が反発。

「そんなこと言ったって、久我山でも一丁目とか三丁目とかあるんです」

「一丁目は三鷹台に近いですし!」

「そもそも路線が同じです!」

沢田文美に、一歩も引かない。


雨宮瞳と沢田文美のバトルに、たまりかねた他の生徒が華音に尋ねた。

「私は調布だから今日は無理だけどさ、華音君は何丁目なの?」


華音は困ったような顔。

それでも答えた。

「はい、三丁目になります」

「確かに千歳烏山は、すごく近いです」


今度は沢田文美が、ガッツポーズ。

雨宮瞳は、口をへの字に結んでいる。


華音は、話をまとめた。

「それでは、雨宮さんと、沢田さんだけに」

「他のお方は、またゆっくりと招待します」

「土曜日とか部活のない日曜日にでも」


雨宮瞳と沢田文美はニコニコ。


他の生徒たちは、「まあ、仕方がない」と言った様子。


「今日は遅いから仕方がないよ」

「招待してもらったら、何かケーキでも」

「一緒に暮らしている女の子を見たいなあ」

「あーーーー行きたいけれど、路線がねえ・・・時間も時間だし」



さて、そんな状態で、華音、沢田文美、雨宮瞳は一緒に井の頭線に乗り込んだ。


華音は頭を下げる。

「すみません、こんなことになってしまって」


沢田文美は、うれしくて仕方がない。

「いいの!お礼もしたいし、お友達にもなりたいし」

「私、先輩だもの」

と、華音にすり寄り気味。


雨宮瞳は、また焦った。

それでも尋ねた。

「ねえ、二世帯住宅だから、アパートではないよね」

尋ねてしまってあまりにも愚問と思ったけれど、

華音は頷く。

「はい、去年の夏に亡くなった、母方の祖父母の古い屋敷なんです」

「誰も住んでいないと、よろしくないということになって」

「僕と、従姉の二人が住むことになりました、少々は改築しましたけれど」


沢田文美、と雨宮瞳は、華音の説明から、「相当に古い屋敷」のイメージが浮かんできている。


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