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沢田文美は華音の引っ越し荷物整理を申し出る

剣道場を出た華音はグラウンドに出て、自分の教室に向かって歩いていく。

その華音に、おそらく剣道場での噂を聞きつけたらしい、いろんな学生が駆け寄って来る。


「華音君!どうだったの?」

「打ち合いとかしたの?」

「怪我は?・・・無いよね、歩いているもの」

「あーーー見に行きたかったなあ・・・」

陸上部や野球部も華音の答えに注目している。


華音は、あまりにも人が集まって来たので、少し驚いたけれど

「はい、塚本主将様、剣道部員様、それから佐野顧問にご指導をいただきました」

「手加減をしていただいたのでしょう、怪我はありません」

と、いつものやさしい口調。


テニスコートから、沢田文美が飛び出して来た。

「華音君!すっごい心配だった!」

「ねえ、無事だった?」

そう言いながら、華音の手を握っている。


雨宮瞳が少し遅れて華音の前に。

沢田文美のべた付きにムッとしながら

「華音君、お疲れ様」

と、声をかける。


華音は答えた。

「はい、大丈夫です、心配させてごめんなさい」

そして、今度は沢田文美に尋ねる。

「沢田さん、右足首の状態はいかがですか?」


沢田文美は、うれしそうに笑う。

「ありがとう、全く痛みも何もないよ」

「怪我する前より、調子がいいもの」

「華音君のおかげ」


華音がにっこりとすると、沢田文美。

「あのさ、私は気に入らないけれど、他の部員もお願いしたいって人が多いの」

「また頼んでもいい?」


雨宮瞳は思った。

「いつの間に・・・どうせ、先輩女子たちで、華音君を独占しようって魂胆でしょう、全く・・・油断も隙もない・・・」

ただ、沢田文美の勢いがすごいので、言葉には出せない。


華音は、少し笑って、頭を下げる。


「はい、その時になりましたら」

「それで、今日は帰ります」

どうやら、自宅に帰ることを決めているらしい。


沢田文美が、強硬に異論を唱えた。

「えーーー?ケーキ食べに行こうよ」

「練習は、そろそろ終わるしさ」

「みんな、もっと華音君とお話したいって、大変なの」

「今日の剣道場のお話も聞きたいしさ」


少し困ったような華音。


雨宮瞳は、ここでクラス委員の役目を果たそうと思った。

華音に助け船を出す。

「華音君、まだ引っ越しのお片付けがあるんでしょ?」

「引っ越して来たばかりだから、大変だよね」


そして沢田文美に

「沢田先輩、華音君はそういうことで、忙しいと思うので」

「ケーキはまた別の機会に」

と声をかける。


しかし、そんなことで引くような沢田文美ではない。

「華音君!お手伝いする!」

「そういうことは、女手が必要なの!」

沢田文美は、ケーキ話以上に、にこにこしている。

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