表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/500

佐野顧問の膝が震えだした。

華音は、素直に答えた。

「はい、師匠は柳生霧冬先生」

「三歳の頃から、ずっと指導をされています」


佐野顧問の表情が、ガラリと変わった。

「え・・・あ・・・」

「あの・・・柳生先生か・・・」

少し震えている。

そして、華音の顔をじっと見る。

「御存命であったのか・・・」


華音は、表情に変化がない。

「はい、今は、柳生の地におられます」

「つい一昨日も奈良にて、ご指導を受けてまいりました」


佐野顧問は、驚いたような、うれしいような、複雑な顔。

そして華音の手を握る。

「そうかあ・・・柳生先生のお弟子さんだったのか」

「それなら、よくわかる」


華音が佐野顧問に尋ねた。

「佐野先生は、柳生先生をお知りなのですか?」


佐野顧問は、破顔一笑。

「ああ、先生が警察庁の指導で来られた・・・そうだなあ・・・」

「20年前かなあ・・・」

「俺が若手の剣士で、全国大会に出る前だった」

「俺だって、優勝候補に入っていたのさ」


佐野顧問は、話を続ける。

「柳生先生に指導してもらったんだけど」

「まあ、コテンパンさ」

「実力が違い過ぎる、気迫が違い過ぎる」

「神とか鬼とか、そんな感じ」

「とにかく速くて、つかまえられない」

「余程の鍛錬を重ねないと、あの動きは無理」

過去の話をして、華音に尋ねた。

「華音は、その先生に指導を受けたのか」


華音は、ニコニコと聞き、答えた。

「確かに厳しい先生でした」

「三歳の頃から、毎朝4時半から、1時間半の指導」

「天候には関係ありません、休みもありません」

「道場はなく、露天、山の中、川の中もありました」

「道着もありません」

「いつもの口癖は、常時戦場」

「道着をつけ、道場で、ルールなどに縛られて棒きれを振るくらいでは、戦場では役に立たない」

「千差万別の状況の中で、常に勝つ、それが戦場の剣」


佐野顧問は、聞きながら笑った。

「全く同じことを聞いたなあ」

しかし、すぐに表情を変えた。

「あの先生の指導を・・・そんな子供の頃からか・・・」


あらためて華音の立ち姿を見る。

「ふ・・・全くスキが無い」

「身体全体から、オーラが出ている」


華音から声がかかった。

「佐野先生、これ知っています?」


佐野顧問が華音を見ると、華音が竹刀を上段に構え、振り下ろした。


「ピュン!」

布地を切り裂くような、高く鋭い音。

「ピュン!」「ピュン!」「ピュン!」・・・・

華音は竹刀を振り続ける。


佐野顧問は、驚いた。

「あの振りの速さは、道着をつけて、ようやく怪我が避けられる程度」

「つけていなければ・・・皮膚まで断たれる・・・」

佐野顧問の膝が、ガクガクと震えだしている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ