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野球部原島の激高はおさまらない。

多勢に無勢、ようやく不利を把握した野球部原島の取り巻きが、原島にご注進。

「原島さん、ここは引いたほうがいいのでは?」

「下手にこのまま暴行をしかけたりすると、それが問題となって秋の大会も辞退を・・・」

「高野連に通報とか報告とか・・・」


しかし、野球部の花形、学園のスターと自任する原島は、そんなご注進は聞かない。

何より冷静に正論を述べ、多くの生徒に囲まれている華音が気に入らなくて仕方がない。

結局、同じようなことを、わめき散らす。


「・・・るせえ・・・」

「田舎者の分際で・・・わかったようなことを抜かしやがって・・・」

「いいか?俺は三年生、しかも野球部だぞ!」

「お前は、一年生で、ついこの間転校してきたばかりの田舎者だ!」

「しかも男のくせに、文学研究会?」

「・・・ふざけんじゃねえ!」

「おい!馬鹿華音!」

「先輩の命令だ!」

「学園の許可なんて、どうでもいい!」

「お前が花壇作りをしたから、こうなった!」

「だから、お前が責任を持って、全部つぶせ!」

「終わったら、土下座だ!」


その二回目の土下座発言で、華音を囲む生徒たちの表情も視線も、実に厳しくなる。


しかし、原島は、それが気いらないのか、更にエスカレートしてしまう。

「ああ、華音と一緒につるんでいる奴らも、同罪だ!」

「お前らも、土下座しろ!」

「いいか!お前ら全員!」

「この野球部に逆らったんだ!」


同じような暴言が続く中、華音は途中から何も聞いていない。

長谷川直美が華音に耳打ち。

「全部録画したよ」

「校舎から学園長と野球部監督と顧問も歩いて来る」


すると、原島は、その華音と長谷川直美が気に入らない。

ますます、激高する。


「おい!華音!それから女!」

「この野球部の四番の話が聞けないのか!何をしゃべってる!」

「聞き取れないようなことを言うな!」

「この馬鹿野郎!そこに座れ!二人とも!」

「正座しろ!」

「いいから!すぐやれ!」

「すぐに正座しないと!」

この時点で、原島は完全に切れてしまったらしい。

思いっきり高く、金属バットを持ち上げ、華音と長谷川直美を威嚇する。


空手部主将の剛が、ついに口を開いた。

「おい、原島、正座しなかったらどうする?」

剣道部主将の塚本も、原島に迫る。

「そもそも、何故、金属バットを高く持ち上げる必要がある?」

「どこに野球のボールがある?」


しかし、興奮してしまった原島は、おさまらない。


「るせえ!」

「お前らみたいなマイナー運動部の分際で!」

「野球部に逆らうのか!」

また、思いっきり金属バットを地面に叩きつける。

そして、かん高い金属音がグラウンド中に響き渡る。


その金属音が消えた時だった。


「はい、原島君、そこまで」

吉村学園長が、後ろから原島に声をかけた。


「え?」

原島が、驚いて後を振り向くと、学園長の隣には憔悴した野球部監督の杉村と、厳しい顔の野球部顧問の武田が立っている。


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