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瞳に救われる華音、廊下に不穏な雰囲気

三田華音は、近づいてくる雨宮瞳がわかったようだ。

大勢の先輩女子に囲まれながらも、

「おはようございます、雨宮さん、昨日はお疲れ様でした」

と、きちんと声をかける。


雨宮瞳は、少しホッとした。

「うん、おはよう、こちらこそ、ありがとう」

「教室に行こう」

もう、群がる先輩女子に、遠慮している場合ではない。

ほぼ強引に、華音の腕をつかんでしまう。


しかし、先輩女子もさるもの。


「あーーー!メチャ強引!」

「瞳、そんなことすると、嫌われるよ!」

「私たちのアイドルなの、変な気は起こさないでね」

「華音君、お昼一緒にしようね!」

「放課後、美味しいケーキのお店に行こうよ!」

・・・ものすごい「言葉の嵐」。


雨宮瞳は、全く反応することをやめた。

無理やり、華音を引きずって歩きだす。

「強引はどっちなの?」

「沢田先輩の昨日の抱き付きは何?」

「お昼一緒?放課後の喫茶店?」

そんなことをブツブツ言っていると、華音が声をかけてきた。


「雨宮さん、あの、腕を引いてくれるのは、ありがたいのですが」

「歩けますので」


どうやら、華音は瞳に腕を離してもらいたい様子。


「・・・う・・・うん・・・」

瞳も、先輩女子たちへの「対抗上」無理やり、腕を引いてしまったけれど、やはり他の人の目もある。

「わかった・・・」

少々というか、相当名残惜しいけれど、華音から腕を離す。


すると、華音からお礼の言葉。

「雨宮さん、助かりました」

「さっきは、どうしていいのか、わからなくて」


瞳は、笑ってしまった。

「お姉さん方に囲まれていたね」

「大変だったね」


華音は、恥ずかしそうな顔。

「雨宮さんに、救われました」

「感謝です」


・・・と、そこまでは、平穏な廊下歩きだった。

華音の先輩女子からの、少々の取り囲まれはあったものの、平穏な部類に入る。


しかし、瞳と華音が進む先から、今度は大柄な男子生徒たちが、姿を現した。

瞳は、目を見張る。

「三年生の剣道部、空手部、柔道部の人たち」

「全員が都大会での三位ぐらいに入る人たち」


瞳は、大柄な男子生徒たちの表情を見た。

「でも・・・何か、機嫌が悪そう」

「ん?華音君を睨んでる?」


瞳は、華音の顔を見た。

「ねえ、華音君、先輩男子が華音君を見ているんだけど、知っている人?」

そして、瞳の頭の中には、「中学剣道日本一、合気道日本一」の言葉が、飛び交っている。


華音は、全く冷静、首を横に振る。

「いえ、全く、顔も名前も知りません」

「僕のほうを見ているんだけど」


廊下には、少し緊張感が漂い始めている。


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