華音VS柔道部顧問小川(握手対決)、屋敷に緊急来客?
不思議そうな顔になった華音に、柔道部顧問小川が声をかけ、頭を下げる。
「華音君、本当に申し訳なかった」
「ついカッとなって、とんでもないことを言ってしまった」
華音は、柔らかな笑顔。
「いえいえ、気にしてはいません」
「僕も焦ることはありますし、先生もお気になさらずに」
吉村学園長は、ホッとした顔。
「まあ、とりあえず校門前の危険は、これで相当除去されます」
その華音が、再び帰宅しようと歩きだすと、柳生清が華音と柔道部顧問小川に声をかけた。
「どうかな、二人、握手してみたら」
華音は、素直に「はい」と小川顧問の前に立つけれど、橋本スタッフが柔道部顧問小川に耳打。
「慎重にな」
柔道部顧問小川は驚いたような顔になるけれど、そのまま右手を出す。
その華音と柔道部顧問小川に、柳生隆がけしかける。
「握手と言いながら、関節の極めくらべかな」
華音は、クスッと笑い、柔道部顧問小川は真顔で、お互いの右手を握る。
そして握り合った瞬間からだった。
柔道部顧問小川の右腕の筋肉、肩、両膝が緊張の極地。
額には、汗がふきだしている。
柳生清が、判定を下す。
「あはは、小川、これでわかったか」
「華音君の危険性が」
華音は、「まず一勝」と、笑顔で握手をほどくと、途端に、柔道部顧問小川の腰が抜け、橋本スタッフがその身体を支える。
そのまま華音は雨宮瞳と文学研究会と、帰宅していった。
呆れて華音の背中を見つめるしかない小川が「握手」の感想を述べる。
「右手の全ての関節が極められて、全く動けない」
「少しでも動かそうとすると、指が切れそうなくらいに痛い」
「その痛みが全身に回って、膝が震えて立っていられない」
柳生清は、含み笑い。
「華音君は、握手でも人を殺せる」
吉村学園長は、そんな様子を見て呆れている。
「全くねえ・・・あなたたち・・・華音君を煽ってどうするの」
また、校門前の不穏を伝えに来た空手部主将剛は、身体の震えが止まらない。
「華音は、マジで強すぎる」
「俺は、そんな華音に文句を言いつけて、道場で立ち会って吹き飛ばされたんだ」
「逆に華音について習いたいところだけど・・・」
「実力が違い過ぎる」
さて、華音と雨宮瞳、文学研究会の女子たちが仲良く校庭を歩ていると、華音のスマホにコール。
華音がスマホを手に取ると、シルビア。
「華音!さっさと帰ってきなさい!」
「面倒だから立花管理人が学園まで車で迎えを出した」
ただ、華音はそれでは、要件がわからない。
そして「それって何?」と聞こうとしたけれど、それよりシルビアのほうが速い。
「お客さん、外務省の人と外国の大使館の人が数人」
華音が「はぁ?」と聞きなおすと、校門前に黒ベンツのワンボックス車が停まって、春香が降りて来た。
「華音!グズグズしない!」
「無理やりで悪いけれど、女の子たちも全員乗ってください!」
「マジで美味しい料理が食べられます」
華音はキョトン、女子たちは顔を見合わせて、ガッツポーズになっている。




