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翌朝の華音と瞳

翌朝、雨宮瞳が登校、学園内に入ると、あちこちの生徒が三田華音の話題で持ちきりになっている。


「すっごく可愛くて美形で癒し系の転校生なんだって」

「テニス部の沢田さんの捻挫と顧問の腰痛を、治してしまったらしいね」

「挨拶とか、態度はおとなしめなんだけど、ほんわかした子みたい」

「テニス部が、絶対に守りたいって、言ってた」

「ふーん・・・見たいなあ」


そんな声が多いので、昨日の一件が、相当、知られていると、瞳は理解した。

ただ、雰囲気が異なることをいう生徒たちもいる。


「三田華音って、名前を去年、聞いたことあるよ」

「え?奈良の子でしょ?ここは東京だよ」

「えっとね、去年の中学生剣道日本一だって」

「マジ?そんな子が、この学園に?」

「うーん・・・それだけでなくてさ・・・」


また別の生徒が話に加わった。

「剣道日本一?おれは合気道大会で日本一だと思った」

「でも、奈良県出身だった」

「大会に行ったんだ、すごかった、ポンポン投げ飛ばして」


雨宮瞳が聞き取れたのは、そこまでだった。

そして、首を傾げることになる。

「剣道日本一?」

「合気道日本一?」

「とても、そんな武道系、格闘系って顔じゃない」

「そもそも、前期は文学研究会って言っていたし」



雨宮瞳が、首を傾げて廊下を歩く後方から、騒ぎ声が聞こえてきた。

後を振り返らず、顔は見ないでもわかった。


「華音くーーーん!」

「昨日はありがとう!」

沢田文美の声である。


「あ・・・おはようございます・・・いえ・・・その後、いかがですか」

少々、しどろもどろな華音の声も聞こえてきた。


「もうね、完璧!」

「ねえ、また何かあったらお願い!」

雨宮瞳が、我慢できずに振り返ると、沢田文美は既に、華音の手を握っている。


雨宮瞳は、またしても焦った。

「わ!やばい!また、先を越された!」

そして、ここで、ためらっていてはよくないと思った。

廊下を戻って、華音のところに急ぐと


「ねえ、この子が華音君なの!」

「へえ・・・可愛い!」

「文美をありがとうね!」

「文美の次は、私にお願い!」

「ねえ、お昼一緒に食べない?」

「わーー!華音君、顔が真赤になった!可愛い!」


・・・・何のことはない、先輩女子たち大勢に、すっかり囲まれてしまっている。


雨宮瞳は思った。

「先を越されたどころではない」

「奪われてしまう、こんなんじゃ」

「何とか、華音君を教室に連れて行かないと」


そして、自らの役目を思い出した。

「そうだ、私はクラス委員なんだ」

「これこそ、立派な仕事なんだ」

「ここで、先輩に遠慮している場合ではない」


雨宮瞳は、意を決して、三田華音のいる場所へと、向かった。


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