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柳生事務所の対応策と柔道部顧問小川

学園長室では、柳生事務所による柔道部顧問小川への事情聴取が始まった。


所長の柳生清

「柔道雑誌と記者、スポーツ用品メーカーとの付き合いは何頃から?」

柔道部顧問小川

「はい、付き合いそのものは、学生時代、高校生くらいからです」

柳生隆スタッフ

「確かに将来有望な小川君、国体選手でオリンピックも夢ではなかった小川君だったから、取材はあっただろうし、柔道着などを買うとかなどは問題はないと思う」

「心配なのは、お金の授受さ」

柔道部顧問小川

「それは・・・特に紹介してもらえるような生徒がいなかったこともあるのですが・・・今回が初めてです」

柳生清

「・・・そうなると、篠山の情報からか・・・発端は・・・」

柳生隆

「格闘系雑誌の中では、華音は有名人、何しろ去年の合気道と剣道の大会で、神がかり的な強さで優勝、そして、その後は行方知れず」

「見つかれば記事にできるし、スポーツ用品メーカーにとっては今後への有力な投資相手」

橋本スタッフが難しい顔。

「ところで小川さん、借金の返済相手は・・・闇金でしょ?」


柔道部顧問小川は、また下を向く。

「すまない、恥ずかしいことで・・・簡単に貸してくれて・・・」

「パチンコと競馬、競輪で負けが込んでいて・・・」

「もうかればすぐに返せると思ってしまっていて・・・」


柳生清が、声を低く、やさしくした。

「小川君、自分が把握している範囲での元金は、どれくらいなのか」


柔道部顧問小川は、少し黙ったけれど、言うしかないと思ったようだ。

震える声で、「記憶している元金」を答える。

「はい・・・申し訳ありません・・・500万円ほど・・・」

「毎月・・・返済はしていたのですが・・・何しろ金利が高くて・・・」

「500万円程は返済は済んでいるとは思うけれど、レシートを見ると、いつまで経っても元金が減らない・・・利息は増える・・・」


柳生隆は、柔道部顧問小川を正面から見る。

「小川君、その闇金の名前を教えて欲しい」

「それで、我々も具体的に動く」

「言いづらかったら、返済のレシートでもなんでもいい」


柔道部顧問小川が、驚いたように、レシートを財布から出して、柳生隆に渡すと、

橋本が、柔道部顧問小川の肩をポンとたたく。

「これを渡してくれれば、我々が弁護士事務所として、動くことができる」

「後は、プロに任せろ」



まだ、驚いている柔道部顧問小川に、吉村学園長が声をかける。

「当分、危険もあるので、自宅には帰らない方がいいかな」

「それから、スマホとかは、番号を変えた方がいい」

「もちろん、その手配も、柳生事務所が責任を持ちます」


柳生清が、厳しい顔で再び柔道部顧問小川に声をかける。

「とにかく、華音君にも、学園にも迷惑をかけないとの理由もある」

「君の宿舎は、当面事件が解決するまで、我々のアパートに」

「引っ越しから携帯番号の変更まで、サポートする」


柳生隆は、冷静な顔。

「まあ、これで闇金退治ができる、小川君の更生もできる」

「うまくいけば、借金も相当減らせる」

「だから、心配はいらない」


厳しかった吉村学園長の声も少し和らいだ。

「小川先生、今回の弁護士事務所の料金的なことは心配しないでいいよ」

「全て、この学園と柳生事務所との包括警護契約の範疇なの」


ようやくホッとした顔を見せる小川に、柳生隆がクスッと笑う。

「まあ、華音を柔道大会に出したら大変なことになるのさ」

「この全国大会二位の俺だって、10秒も立っていられないんだから・・・」


橋本も苦笑する。

「投げられて痛いのなんのって・・・それでも手加減しましたって言うんだけどね・・・俺だって国体三位の選手なのにね」


柔道部顧問小川は、今度はキョトンとした顔になっている。


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