文学研究会をノリノリにさせる華音の提案
華音は、顧問の田中蘭の登場を受けて、すぐに動きカフェオレを淹れる。
華音の意図がすぐにわかったようで、同じ一年生の志田真由美が華音を手伝う。
華音が
「田中先生、お口に合いますでしょうか」
とカフェオレを田中蘭に配ると、田中蘭はうれしそうな顔。
「うん・・・これ・・・本当に美味しい」
「さすが・・・華音君」
華音は、恥ずかしそうな顔。
「さすがと言われても」
長谷川直美が、ついさっきまで話題となっていたことを、田中顧問に説明を始める。
「先生、今度の学園文化祭の件なのですが」
「華音君の発案で、文学喫茶にしようかと」
田中蘭の顔がパッと明るくなる。
「そうね、面白いわね、初めての企画、文学研究会らしくて」
長谷川直美は説明を続ける。
「それとですね、ただ本を読んでもらって喫茶と軽食を提供するだけでは面白くないので」
長谷川直美がそこまで説明を進めると、他の文学研究会女子がニコッと笑みを交わし合う。
長谷川直美は、真面目な顔になった。
「これも華音君の発案なのですが、源氏物語の紫の上に関するスピーチをするとか、そういうイベントと喫茶に組み合わせは、どうかなあと」
「私たちとしては、全く異論がない、というかやってみたくて」
その説明を受けた田中蘭は、驚いたような顔。
「へえ・・・面白いなあ・・・」
「永遠の紫の上かあ・・・」
そして、すぐに承諾の意を示す。
「うん、実に有益で面白い」
「いろいろ楽しめるよ、私たちもお客様も」
「勉強にもなるし、紫の上なら・・・いいかなあ・・・」
少し田中蘭の様子を注意深く見ていた華音が、また意見。
「僕の家にも、たくさんの資料がありますし、それをもとに講演資料を作ります」
「講演者は、僕がやってもいいですし、交代で全員でやってもいい」
すると田中蘭が、またうれしそうな顔。
「私も講演したくなった、大学から先生を呼んできてもいいかなあ」
その田中蘭の言葉で、女子部員は全員が明るい顔で、クールサイン。
文学研究会の部室内は、相当明るい雰囲気に包まれる。
すると、華音はまた提案。
「それと、紫の上のお香も焚いてみるとか」
「平安時代の装束の大きな写真」
「六条院の配置図」
「光源氏を中心とした大きな系図」
「抹茶とか和風菓子もメニューに加えましょう」
そこまで言って華音は、ハッとした顔。
「かなり大変かもです」
どうやら提案し過ぎたと感じたようだ。
しかし、顧問の田中蘭と長谷川直美他女子部員の顔は、ますます輝いている。
田中蘭
「うん!絶対に全部やる!」
長谷川直美
「うん、役割分担を決めるよ!」
どうやら、華音の予想を超えて、文学研究会全員が、超やる気を見せているようだ。




