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VS柔道部顧問小川(1)

萩原担任は、柔道部顧問小川の発想が気に入らない。

そして、いろいろと考える。


「そもそも、篠山君の反則攻撃にも注意や指導をロクにしてこなかった」

「ほぼ、見て見ぬフリ」

「それは、篠山君の親の区議会議員に配慮したからでしょ?」

「それもひどいけれど、柔道部に入る気がない華音君を大会のためにと、一時的に誘うって、どういうこと?」

「自分と柔道部の名誉だけを考えて、華音君の都合とか思いを全く考えていない」

「それは華音君は強いから、出場すれば、学園の名誉にはなるのかなあ」

「でもなあ、自分でしっかり育てるのが基本では?」

「勝ちさえすれば、何でもいい、後は何とかなるって発想かな」

「結果至上主義・・・人を育てられない運動部指導者の典型だなあ」

「そんなことを考えているから、篠山君みたいな悪質な子が増長するんだ」

「・・・それとも、そこまでの無理やりって・・・他に何かあるのかなあ・・・」


そこまで考えた萩原担任は、華音に聞いてみた。

「ねえ、華音君、どうします?」


腕を組んでいた華音は、冷静な答え。

「はい、柔道部顧問のお話だけはお聞きします」

「ただ、僕は、文学研究会の所属」

「一時的に、その身分を移すなどは、したくありません」


つまり華音の意志としては「お話は聞く、しかし柔道部に一時的にせよ、移る気はない」ということ。


萩原担任は、そこでまた考えた。

「そう言えば、文学研究会の担当顧問は、国語専門の田中蘭だった」

「もし柔道部顧問が話をしてきても、田中蘭を同席させよう、もちろんクラス担任の私も、華音君を補佐しないといけない」

「それでも困ったら学園長を呼ぶ」


そして考えたことを、心配するクラス全員に伝えた。

華音をはじめ、クラス全員がホッとした顔になっている。



さて、午前中の授業が終わり、華音たちが教室でお弁当を食べていると、噂の主である柔道部顧問小川が、教室に入ってきた。

そして華音に、大きな声をかける。


「おい!華音!ちょっと話がある!」

「すぐに柔道部の部室に来い!」


華音は、驚いたような顔をするけれど、口の中に食べ物が入っているので、すぐには声が出せない。


クラス委員でもある雨宮瞳が、柔道部顧問小川に少し頭を下げた。

「あの、申し訳ありません、まだお弁当の最中で」


しかし、柔道部顧問小川は、雨宮瞳の言葉など聞かない。

とにかく大語で怒鳴り散らす。


「お前の弁当なんて、どうでもいい!」

「教師自ら呼び出しに来たんだ!」

「華音!さっさと立て!」

「失礼だろう!分をわきまえろ!」


ようやく華音は、食べ物を飲み込んだらしい。

そして立ち上がり、柔道部顧問小川に尋ねる

「ところで、何の御用なのですか?」

「僕は柔道部員でもないですし、柔道部に入部する気持ちも全くありません」


それでも、柔道部顧問小川は引かない。

またしても、教室全体どころか、廊下まで響く声で怒鳴り散らす。


「・・・るせえ!」

「いいから来い!」

「教師の指示が聞けないのか!」


その騒ぎを聞きつけたようで、廊下には他のクラスの生徒や、教師たちが詰めかけている。


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