今西圭子の「華音教育」の意味とは?
松田明美は、一旦警察庁に戻り、事件処理とその報告を済ませて、華音の屋敷に来ることになるようで、話し合いが続いている。
「今西圭子だけだと、不安や」
「戦闘力がない、口ばっかしで」
「胸はでかいけれど、うちも形には自信あるしな」
・・・華音の家に来るにしても、まず今西圭子に文句をつける。
今西圭子も言われっぱなしではない。
「は?華音ちゃん、うちが好きなんや」
「アフロディーテとして、教育の責任があるしな」
「未成年となんとやらなんて、無粋な発言をする女には任せられん」
華音としては、その「教育」の深い意味が理解できない。
「古文の教育かなあ、崩し文字苦手だからかな」
「洋書は、圭子さんは難しいのでは?専門外だし」
そんな程度のことを考えるけれど、どうやら意味は違うらしい。
松田明美の血相が変わっている。
「圭子、それは、あかん」
「華音ちゃんは、15歳や」
「だからいかにも若い・・・初めてやろ?慎重にせねば」
今西圭子は、下を向く華音をチラリと見て、胸を張る。
「だからこそ、アフロディーテの愛の力が必要なんや」
「あとは、神の力に任せる」
松田明美は、また抵抗を見せる。
そして今度は華音に声をかけた。
「なあ、華音ちゃん、お願いがあるんやけど」
華音が「え?」と顔をあげると松田明美。
「夜の6時には、お屋敷に行けるから」
華音「はい・・・お待ちしています」
松田明美
「それまで、お風呂はあかん」
今西圭子がムッとするけれど、華音は首を傾げながら「はい」
松田明美は、ニンマリと別室を後に、警察庁に戻っていった。
さて、華音たちが別室を出て、フロントまで行くと、根津ホテルマンが立っている。
「華音坊ちゃま、全て無事に解決できました」
華音は、ホッとした様子。
「うん、何より真奈ちゃんが助かってよかった」
「根津のおじさんに助けられました」
根津ホテルマンは華音に頭を下げた。
「いえいえ、こちらこそ、さすがですね」
華音は、首を横に振る。
「そういう苦しみを味わっている女の子が多くいるのかな」
「見つける限りは、何とか楽にしてあげたいと思うけれど」
シルビアも根津ホテルマンに頭を下げた。
「また、変な輩がうごめいていたら、連絡お願いします」
春香も続く。
「これも、私たちの仕事と思っているので」
その後は、文学研究会部長の長谷川直美を吉祥寺駅まで送り、華音たちは井の頭線で帰った。
駅からの道中、シルビアが、今西圭子に隠れて、華音にそっと質問。
「なあ、華音、松田明美さんが来るのは何時?」
華音「6時ごろって言っていた、お風呂にそれまで入らないでって言っていた」
そして華音は首を傾げた。
「圭子さんと、僕の教育とか何とかの話をしていました」
「お風呂と教育って関係あるのかな」
聴き取っていた春香はシルビアの顔を見た。
「あかん、危険や、お風呂でバトルや」
「教育?・・・あかん・・・これも危険や」
シルビアは真顔。
「華音は何とかして保護せねばならんね」
春香
「大風呂に華音を連行して、鍵をかけよう」
シルビアは、即頷く。
ただ、華音は何も聞いていない。




