華音をめぐるバトル勃発?華音の幼少時の写真と長谷川直美
華音の淹れたダージリン紅茶とホテル焼き立てのクッキーを食べ、真奈の一家は柳生隆に警護され、帰宅することになった。
華音たちが別室のドアまで見送ると、真奈の一家全員が深く頭を下げる。
華音はやさしい顔。
「もう大丈夫です、でも何か不安があったら柳生さんでも、僕たちにでも」
真奈は涙ボロボロ。
「はい、またお礼に伺います」
真奈は最後に、華音としっかり握手をして帰っていった。
さて、別室には華音の他、シルビア、春香、長谷川直美、今西圭子、そして松田明美が残っている。
その中で、シルビアと春香は、今西圭子と松田明美の視線バチバチが怖ろしい。
シルビアが小声で春香に
「なんか、視殺戦?」
春香も緊張している。
「うん、いつもより増して怖い」
そんなことを知らない長谷川直美は、華音をウットリと見つめている。
何しろ、恋心発生直後ということもある。
ただ、華音は、そういう「女心のセンチメンタル」には、全く疎い。
そもそも、理解のカケラもない。
そして、松田明美に、「不用意な声」をかけ、あっさり立ち上がる。
「明美さん、お疲れ様でした」
「僕たちは、今日は家に戻ります」
「じゃあ、また困った時には、よろしくお願いいたします」
すると松田明美がムッとした顔。
「ちょっと・・・華音君」
そして手招き。
そのまま、華音を別室の中の別室に引きずり込む。
すると、今西圭子の血相が変わった。
バンとテーブルを叩き、そのまま別室の中の別室に松田明美と華音を追って入っていく。
シルビアは頭を抱えた。
春香は、長谷川直美に「ごめんなさい」と、小声。
「?」の表情の長谷川直美にシルビアが説明をする。
「あのね、今西家の圭子さんと、松田家の明美さんは、華音の遠縁なの」
「だから、華音の赤ちゃんの時期から、よーく知っているの」
春香が説明を補足する。
「でね、華音のおしめの時代から・・・」
「華音を取り合うの、あの二人」
目を丸くする長谷川直美にシルビア
「私たちも従姉でね、親戚の集まりなどで華音と遊んでいるとね」
「必ず、今西圭子と松田明美が、華音を探しに来て、奪っていくの」
春香も続く。
「小さな頃、華音と一緒にお風呂に入っていても、途中で華音を拉致する」
「一緒にお昼寝していても、何時の間にか、華音はあの二人に拉致されて真ん中に寝ている」
長谷川直美は、驚きながらも思った。
「それほど華音君は、小さな頃可愛かったのでは」
「だからお姉さんたちには、動くお人形さんだったのでは」
そう思ったので、シルビアと春香に聞いてみた。
「華音君の小さな頃って・・・格闘訓練の話は聞きましたけれど、どんな感じでした?」
その質問に、シルビアと春香は顔を見合わせた。
そして、鞄の中の手帳をゴソゴソし、二人で数枚の写真を長谷川直美の前に置く。
長谷川直美の顔が、パッと輝やき、そして笑い出した。
「あらーーー!この、クリクリ坊主、華音君?華音ちゃんや!」
「キャハハ!可愛いやん!メッチャ可愛いやん!あらーーー」
「これなら抱っこしたくなるやん、はぁーーヨダレがでそう・・・」
「お高くとまっている」長谷川直美とは思えないような、ニコニコ顔に
なっている。




