華音の絶品ダージリン、長谷川直美にも恋心発生
真奈は両親を見るなり大粒の涙。
むしゃぶりついて泣いている。
そんな家族をホッとした顔で見ながら、華音は別室の中にあるバーで、ダージリン紅茶を淹れている。
その華音の隣では、シルビアと春香が、クッキーを皿に盛っている。
華音はやさしい顔。
「とにかく、無事に解決して良かった」
シルビア
「フロントの時点で気がついた」
春香
「うん、あの女の子と、ヤクザ男の醸し出す雰囲気が濁っていた」
今西圭子も手伝う。
「さすが華音、あの力を使ったの?」
華音は、少し笑う。
「あの政治家を見た時に、これ以上進ませてはいけないと思った」
「そしたら、突然、転んだ」
「力と言うほどではないよ」
シルビア
「井岡さんが華音の目が光ったら、政治家が転んだって、教えてくれた」
春香
「瞬間拘束の力かな」
さて、松田明美と柳生隆は別の話。
柳生隆
「確かに、真奈さんの家の周りに、危ないヤクザが数人うろついていた」
松田明美
「で、追っ払ったの?」
柳生隆
「ああ、裏柳生の技を使った」
松田明美は、少し笑った。
「瞬間拘束でしょ、目力で」
「それ、華音ちゃんも使えるみたいだね」
柳生隆は苦笑い。
「吸い取り紙みたいに、すぐに自分のものにして、それをまた簡単にアレンジするんだ、華音は」
松田明美
「それだから、簡単に逆を取られる?」
柳生隆は、また苦笑い。
「ああ、とてもとても・・・さすが毘沙門天の力だ」
さて、真奈の家族も落ち着いた頃を見計らって、華音が声をかけた。
「あの、お疲れでしょうから、紅茶を淹れました」
「ここのホテルのものですが、焼き立てのクッキーもあります」
シルビアと春香が、さっと真奈の家族を席に誘導する。
松田明美が柔らかな表情で説明をする。
「警察の捜査も進んでおります」
「とにかく悪事は、相当大きいのですが、全て暴露されます」
「とにかく真奈さんと、ご両親は安心なされてください」
真奈の父が、深く頭を下げ、礼を言う。
「本当に娘のことで、心配をかけてしまいました」
「心よりお礼を言わせていただきます」
真奈も頭を下げた。
「これから、ウカツな誘いには、十分注意します」
そして、華音の淹れた紅茶を一口。
その顔がパッと輝いた。
「美味しい・・・甘い・・・生き返るような・・・」
真奈の母も、紅茶を飲んで表情が変わった。
「本当ですね、これは・・・至福の味」
真奈の父は、目を閉じて味わっている。
あまりの美味で、口を開くのも、難しい様子。
さて、長谷川直美は深く感動していた。
「華音君は、すごいなあ・・・どんどん、すごい人も集まって問題を解決していく」
「底が知れない・・・ますます手離せない・・・というか、惚れたかも」
これが、長谷川直美の心が大きく動いた瞬間だった。




