女性たちの会議(3)それぞれの御神霊と今後?
今西圭子がクスクスと笑いながら、説明をする。
「実はね、華音君、というか私にとっては華音ちゃんなんだけど」
「何しろ、私も華音ちゃんも奈良出身」
「遠縁でもあって、小さな頃から、華音ちゃんを知っているし、シルビアちゃんも春香ちゃんも、実は遠縁でよく知っています」
萩原美香と瞳は、またしても「はぁ・・・」状態。
今西圭子は、話を続けた。
「それでね、私は華音ちゃんの、オムツを替えたこともありまして」
「だから、胸の呪印も、お尻の呪印も、よくわかるのです」
「もちろん、シルビアちゃんと春香ちゃんの呪印もね」
ようやく、少し納得した萩原美香と瞳に、シルビア。
「華音の名前の由来は、生まれた時にお尻にあったホクロが観音様の呪印から」
「さすがに、三田観音では恥ずかしいので、三田華音に」
春香が補足する。
「それで、胸の呪印も、本当はあったようだけど、小さかったらしくて」
「でも、一歳の頃には、はっきりしたみたい」
「三田薬師でも変な名前だけど」
春香が少し笑うけれど、萩原美香と瞳は、まだ「はぁ・・・」状態。
今西圭子が、話題を変えた。
「萩原先生と瞳ちゃんは・・・何か気がついていることはない?」
萩原美香は頷く。
「うーん・・・驚いたのは、華音君の格闘もすごいけれど、最初はテニス部の女子部員と顧問の治療でしょうか」
「それから、不思議に周囲がまろやかになる」
「これは、担任としての実感です」
瞳は、華音とシルビア、春香と井の頭線に乗り込んだ時のことを思い出した。
「あの、華音君とシルビアさんと春香さんが並ぶと、神々しいっていうのかな」
「井の頭線で、並んでいた時に、驚きました」
「何しろマスクをしていた人は、全員外しましたし」
「下を向いてスマホをいじっていた人も、全員それをやめて華音君とシルビアさんと春香さんを、にこにこして見ているし」
「・・・とにかくすごく雰囲気が良かった」
今西圭子は、二人の応えを聞いて満足そうな顔。
「華音君は薬師如来の宿り子なので、治療や癒しの能力の、最高に強いものを発揮できる」
「つまり、これは薬師三尊の効果なんです」
「薬師如来の宿り子の華音ちゃんを中心に、日光菩薩の宿り子のシルビアちゃん、月光菩薩の宿り子の春香ちゃんが並ぶ」
「すると、その周囲が癒しの空間に変化する」
萩原美香と瞳は、またしても「はぁ・・・」状態。
ただ、それでも萩原美香が質問をする。
「それで、アフロディーテ女神、私はアテナ女神、瞳ちゃんは吉祥天なのですが」
「具体的には、どのような・・・御力とか・・・」
「あるいは、何をすべきなのか」
今西圭子は、真顔に戻った。
「まずアフロディーテ女神は、愛と性を司る女神」
「アテナ女神は、知恵の女神であり、工芸と教育を司ります。また、知的で防衛的な戦いの女神」
「吉祥天は、繁栄・幸運を意味し幸福・美・富を顕わす神」
「戦闘の神、毘沙門天の妻と言う説もあります」
「毘沙門天の妻」との表現で、瞳の顔が真赤になるけれど、今西圭子は、そのまま話を続ける。
「具体的に何かを人間が考えてする、ということはありません」
少し首を傾げる萩原美香と瞳に、シルビア。
「つまり、呪印が身体に浮かんだ時点で、私たちは御神霊のコントロール化にあります、御神霊が自然に私たちを動かすのです」
春香が、シルビアを補足する。
「ご心配は不要です、宿り子の健康と幸福は、御神霊により守られます」
その言葉の時点で、全員の胸に浮かんだ呪印が、まばゆい光を発しはじめている。




