篠山組に突然の国税調査、頼みとする野党の大幹部のお助けは?
さて、突然、国税調査となった篠山組は、本当に騒然となっている。
何しろ、金庫内から、億近い現金や、かなりな金銀宝石が、国税当局により確認されてしまった。
国税調査官が篠山区議に質問をする。
「篠山区議、この現金の領収書の、発行先を確認したい」
「それと、金銀宝石の原資は?」
篠山区議は、全く、その質問に返事ができない。
そもそも、現金の領収書などはない。
「その現金は、持ってこい詐欺の現金」などとは、口が裂けても言えないのだから。
また、金銀宝石の原資も、全て「持ってこい詐欺」の現金からになるので、これも言うことはできない。
別の国税調査官たちからも次々に、質問。
「篠山区議、土建業は、何年も赤字決算になっているのですが」
「これだけの現金や、金銀宝石があって」
「実際、土建業として、何をやっていたのですか?」
「仕事そのものは、少ないようですね」
「それと、仕事に使う資材は、低価格な粗悪品?」
「それなのに、工事先への請求書は、他の業者より、30%程度高い」
「それで、どうして利益が出ないのですか?」
篠山区議は必死に抗弁。
「いや・・・人件費もあるので・・・」
しかし、国税調査官は首を横に振る。
「いや、人件費は、他業者と比べても、かかっていない」
「むしろ、安い」
ますます、うろたえるしかない篠山区議のスマホに、着信があった。
相手は、現野党大幹部の秘書。
篠山区議は、救われたような気持ちで、電話に出る。
そして、大声で、話しはじめてしまった。
「はい、篠山です!」
「今、国税に突然、踏み込まれて大迷惑です」
「先生の御力で、何とかなりませんか」
「いくらでも、資金は準備しますから」
「頼みますよ!」
「何度も先生には協力してきたんだから」
「ヤバイ仕事も何度も」
「こんな国税みたいなゴミ役人、先生の御力で、蹴散らしてください!」
何しろ、ドラ声、大声なので、国税調査官には、全て聞かれてしまっている。
中には、呆れるような顔で、篠山区議を見る国税調査官もいるけれど、ほとんど全ての国税調査官の表情は、一層、厳しさを増している。
ただ、篠山区議は、そんな国税調査官の表情など、何も気にしない。
むしろ、野党大幹部の秘書からの電話は、「天の使い、神の助力」と思っているし、好都合でしかない。
そして、これだけ「陳情」すれば。「先生の御力」で、こんな「ゴミ役人、国税調査官」など、簡単に蹴散らせると思っている。
そのため、篠山区議の表情には、余裕の笑顔さえ生まれている。
さて、野党の大幹部の秘書は、ようやく言葉を返して来た。
「篠山区議、要件があるのは、こっちの方です」
「こっちの要件を言う前に、あなたが話すから、話が進まない」
その口調が、いつもと違って、冷たい。
篠山区議は、「あ・・・はい・・・」と、余裕の笑顔から真顔に戻る。
野党の大幹部の秘書が、またしても冷たい口調。
「某情報なんですが、篠山さん、とんでもないことが発覚したようですね」
「先生にも、お話したのですが、先生もご立腹」
篠山区議の身体が震えだした。
野党の大幹部の秘書は、冷たい口調を続け、言い切った。
「先生は、あなたとの関係を、一切、断つようです」
「要するに面倒を見切れない、用済みということです」
篠山区議は、崩れ落ちそうになっている。




