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第2話 大きな穴

背中から風を感じてる。

涼しい、と言うよりも心地よい。

俺は今どこに居るのだろう。

そう思い、瞼をそっと開いた。


「なんだこれ?」


目の前には、大きな木があった。

見渡してみると、ここは草原のようだった。


「君!」


あの白ウサギの声がした。

その声のする方向に目を向けたのだか、そこにいるはずの白ウサギは、いなかった。


「誰だよあんた」


そこには、五百玉サイズの、白い鎌のブローチを付けた、青少年がいた。


「そうなるのも無理はありません。私は、白いウサギです。自分の世界に来たため、元の姿に戻りました。」


「そ、そうか。」


意外とイケメンだったことに驚きつつ、頷いた。


「と言っても、ここは僕の生きている世界じゃないんですけどね。」


「と、いいますと?」


「ここは、あなたが住んでた世界と私が住んでいる世界を繋いでいる場所です」


世界をつなぐ場所か…


「それで、どうやったらあんたの世界に、行けるんだ?」


「あそこに、大きな木があるでしょう?そこの木の根元に、大きな穴が空いています。そこに飛び込むのです。」


そう言われ、大きな木をぐるっと回った。


「あった」


その穴を覗いてみると、底が見えない。

ずっと見ていると、穴の中の暗闇に、飲み込まれそうだった。


「さぁ、早く行きましょう」


「いや、でも…」


俺は、正直この穴に飛び込みたくは、なかった。ここから先に行くと、自分が自分じゃなくなる気がしたからだ。


「お願いします」


白ウサギに、真面目な声でそう言われた。


分かっている、分かっているけど、今の俺には1歩踏み出す勇気がなかった。


「ごめんなさい」


ドンッ


「え?」


穴を覗いていた俺は、白ウサギに突き落とされた。


「ふざけんじゃねぇぇぇぇ」



穴に落ちたものの、落ちている感覚は全くなかった。

下を見ると、景色がものすごい勢いで、流れていった。


その景色を目で追うと、たくさんの本が並んでいた。


急に光が目をさした。


「うっ、眩しい」


その光の先には、鉄格子があった。


「えっ?何処だここ?」


ウサギの住んでいる世界にきた俺は、今いるところがどこだか知りたかった。


正面に鉄格子、地面は土、大きめの布切れ、そして、少しジメジメしている。


「あ~、牢獄に来ちゃいましたねぇ」


「え?どゆこと?」


「さっきの穴は、出口はランダムなんですよ」


「いや、そんなんいーから、ここから出せよ!」


「…あっ、会議の時間だ!急がなきゃ!」


そう言った白ウサギは、懐中時計を見た。


「いやいや、待て待て!」


「あーもう面倒臭いから一緒に会議出ちゃいましょう!」


「連れてきといて面倒臭いって…」


そうして白ウサギは、ワープゲート?みたいなものを出して、俺と一緒にその中へ入っていった。



ワープらしきものを出た途端、明るい所に着いた。


「ここが、会議室か?」


「会議室にみえますか?ここは、お城の中です。辺りを見渡してみて下さい」


そう言われ、辺りを見渡してみた。


上には、シャンデリア、下には、一面びっしり敷き詰められたタイル。そして、ここから色々な所に行けるらしい。


「確かにお城って感じだな!」


「さっきからそう言ってるじゃないですか。会議の時間もあるから、さっさと行きますよ」


「うぃ」


そうして会議室に案内されたのだが、中を見た俺は、驚愕した。


皆、下を向いていて、空気が沈んでいた。


「お葬式かよ。」


思わず声が出てしまった。


「当たり前ですよ。この前、王様と王女様が殺されたのですから」


「えっ?どうして?」


「その会議が今始まるから黙って座っててください。」


「は、はぁ」


なんか、白ウサギの奴隷になった気分だ。



「これより、会議を始めるわ!」


今、会議室に入ってきた少女が言った。


「しょ、少女!?」


大声を出してしまった。

皆、俺を睨みつけた。


「あんた、誰?新入り?スパイ?」


「えっと、俺は…異世界の者だ!」


辺りがざわついた。そして、皆怯えているようだった。


「彼のご無礼をお許しください。彼は、私が異国から連れてきました。」


「あんた、なにやってるの?“ あのこと”忘れたの?」


「いいえ、でも彼は、アリスの息子なのです。」


またもや辺りがざわついた。

皆、俺を、敵視するような目線で見てきた。

だがこの場にいる2人は違かった。

1人は白ウサギ。

そしてもう1人は…


「へぇ、あんたがアリスの息子ねぇ。ちょっと来なさい。」


少女に呼ばれた俺は渋々席を立った。


「今日の会議は、クリスがやって!」


「かしこまりました。」


白ウサギの名前ってクリスっていうんだ。


そうして会議室を後にした。



「今から私の部屋に案内するわね。」


そう言われ、廊下を歩いていた。


「ちょっとまってて、部屋の鍵撮ってくる」


「わかった。」


そう言って少女は、廊下の奥に走っていった。


「これが、あの少女の家族か」


廊下に飾ってあった、家族の絵を見て、言った。


「弟と、妹もいるんだ」


そう思った時、急に体が痺れだした。


うご…かない


そうして首に何かを刺された。

意識がとうのいていく。


俺は、もう死ぬのかな

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