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最強職《無職》 作者:玄米
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一話 ループ


 「あー……休ませろってーの!」

 蝉の声量にも負けないくらいの声を出す。 

高一の8月21日。
 この日は夏休みにも関わらず学校に行かなくてはならず、俺はトボトボと登校していた。
 遠くに熱さが産んだ蜃気楼が見える。

 ……蜃気楼に混ざって顔馴染みが近寄ってきた。

 「おはよう、神崎。目にクマができてるぞ?」
 「夏休みに明け方までゲームをしない学生がいるかってんだ」
 「はは……ほどほどにな」

 今話しかけてきたのは友人でクラスメートの荻沢 誠。
 こいつと俺の登校時間はよく被る。

 ……さて、俺の名前は神崎 真。地方の高校に通うごく普通の学生だ。平均的な身長、体重、容姿を持つ、ドがつくほどにノーマルな人間。
 ……唯一他人に言われることといえば『いつも無気力だね』くらい。

 別に無気力な訳ではない。やる気が出ないだけだ。
 少ないが友人にも恵まれ、特に努力せずとも平均的な学力を維持している。
 趣味がゲームで、座右の銘が『ナンクルナイサ』

 「最近は何のゲームしてんの?」
 「RPGばっかりだな。タイトルで言うとファイナル……」
 「いいよいいよそこまで言わなくても」
 「そうかい」

 そうこうしてるうちに学校に到着。

 「うぃーす」
 「おはよう神崎。萩沢も一緒か」

 今のはうちの担任。いつも生徒を気にかけてる良い先生だ。

 「お前らはいつもギリギリだな。早く席につけ、もうHR始まるぞ」
 「あーい」
 「はい」

 よく見るとクラスの面々は俺ら以外、一人残らず席についていた。

 それから約十分。

 ……異様な事が起きた。

 教師が延々と同じ話をしているのだ。

 しかも「お婆ちゃんその話前にも聞いたよ?」的な感じでは無い。

 「なんで夏休みに学校って思うかも知れんが……」

 から始まり、

 「……というわけだ。新学期まで後数日あるが、くれぐれも羽目を外さないように。……では委員長、あいさつつつつつつつつつつつつ……カチ……なんで夏休みに学校って思うかも知れんが」

 ……ってな具合にループしている。あ、今のは4回目だ。

 「……先生、悪ふざけもいい加減にしてください」
 「そうだぞ先生! 早く帰らせろよ!」

 委員長の一言で堰を切ったかのように次々と糾弾し始めた。
 いや、糾弾つっても先生がなんか悪いことしたわけじゃ無いが……

 クラスでは不良で通っている篠崎があることに気づく。

 「ったく、なんだってん……」

 目を丸くする篠崎、その視線の先には大きめの丸時計がある。

 よく見るとそれは、先生がループに入る前からピクリとも動いていなかった。

 「はは……と、時計壊れてんじゃん。おい!だれか時間わかるやついねえのか」

 横暴な言い方がだれにでも通じると思っているのか。

 「神崎、お前スマホ持ってんだろ。今何時だ」

 「ああ? めんどいな、えーっと……」

 俺には通じるが。

 「なんだこれ……おい萩沢、俺らが教室に入った時間、覚えてるか?」
 「ああ、確か8時20分だったと思うが……」
 「だよな……」

 俺のスマホには大きなフォントで『8時21分』と記されていた。
 1分しか経っていない? いやいや、そんなわけはない。
 あ、22分になった。

 「……先生の話がループするときに見てみよう」

 数分後、

 「……というわけで」

 先生のループまであと少しだ

 「今は……32分、8時32分だ」

 生徒三十人が一斉に担任に視線を送る。

 「委員長、あいさつつつつつ……カチ」
 「もどった!」
 「はぁ?」

 スマホの時計が32分から21分に『巻きもどった』のだ

 「んなわけないだろ。スマホの時計は電波だろ?」
 「いやマジだって、ほら」

 スマホ画面を篠崎に見せる。
 みるみるうちに顔が青くなる。

 スマホをポケットに戻した、その時。

 「うわぁ!」
 「きゃーーー!!」

 教室の中央から叫び声が聞こえる。
 ふと足元を見ると、幾何学模様と言うのだろうか。
 教室一面、いや、教室の全体に魔法陣のようなものが浮かび上がっていた。

 「な、なんだこれ……」
 「んー、魔法陣?」

 萩沢が呆気にとられているなか、俺はなぜか冷静だった。
 周りが自分以上に焦ってたらなぜか冷静になれる、というアレだ。

 魔法陣が金属のような高音を放ち始める。

 キィィィィィイイイーーーーン……

 「みんな教室から出るんだ!」

 爆発するとでも思ったのだろう萩沢が皆を避難させようと教室のドアに手をかけた瞬間、強烈な光が教室を包んだ。


 

 「……頼んだぞ」

 遠くに、なにかが聞こえた気がする。
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