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カクノカサ  作者: ガビガビ
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異世界で性奴隷身分から下刻上

初めて意識を持った時、それは何か冷たい鉱物のようなものに包まれていた。それは懐かしいようでそこからいずれは出なくてはいけないような感覚だった。私の居るその場所に定期的に栄養物が供給された。それは命の根源であり私に必要なものだった。なぜかわからないが早くここから出なくてはという考えが浮かんでいた。

ここはバツク市の地下にある国の許可のもと運営している研究所である。そこの主任研究員「角野佳代」はこの国では珍しいドワーフとエルフのハーフブロッドだった。ドワーフの地のせいか背は低く、外見は高校生程度で成長が止まっている、通常ドワーフは成人になると男女の区別があまりつかなくなるのだが、エルフの血のせいか40を超えるにもかかわらず少女のままである。

「おはよう、これが今日のご飯ねー、早く大きくなってね、私の宝物」と半笑いの何とも言えない笑顔を浮かべながら白い粘着質の液体をガラスの容器の中に注ぎ込む、その液体は琥珀色を帯びていて少量である。液体を注ぎ込むと中でうごめく半透明の液体のようなものは滴る琥珀色の液体に反応し波打つように動き出していた。

「あなたも私に似て好き者なのねーこんなにむしゃぶるように食べるなんて」妖艶な表情をしながらガラスの容器の中のうごめく物体を角野佳代は嬉しそうに眺めている。その後ろにはベッドがありその上には30歳程度の男性の裸の背中が毛布に絡まり寝息を立てながら佇んでいる。その傍らには使用済みのコンドームが悲しげに皺くちゃになってシーツのしわに埋もれている。

「それにしても昨日ははげしかったな、なに食べてるんだろうこの人」、佳代は人並み以上の男性経験を持っており、それなりにそういったことには自信をもっていたがこの男は格段激しかった。こともあろうにその激しさとテクニックに圧倒されてしまい、気を失うほどであった。その戦利品ともいえる琥珀色の液体をつい先ほど「麗しき宝物」に献上したところだった。この瞬間に生の充実感覚えている、セックスの絶頂とも違った本能的とも理性的ともいえる感覚で科学者である自分ならではの感覚かもしれないと半ばあきれながら自分を客観的に見てみる。もちろん精液は栄たんぱく質が豊富に含まれおり、栄養分としては申し分ないものであるが、自分の細胞から培養したホムンクルスの養分として自分の獲得した餌を娘に与える感覚は母性と女としての生の双方を満足させるものであり、背徳的な感覚も伴い恍惚感を与えていた。

「早く意識を持たないかなーまだかな」もちろん、科学者である佳代はあとどの程度の日数で意識を持ち、コミュニケーションを始めるかはわかっている、しかしこの感覚は生まれてから子供を授かっていない佳代の母性からでた発言だった。

ガラス越しの外の存在が温かい思念を送っていることは理解していた、白い液体を注がれるたびに包まれる温かい思念、この思念に包まれ安心して栄養を取り込むことができた。まだこの思念にどうにか触れたいと思いうのだが方法がわからなかった。栄養が隅々までいきわたり満足感に包まれている。満足感の中、周りの感触が緩慢になり意識のそこで休息をはじめた。

栄養物を宝貝に与えた後、佳代は自分の栄養補給を始めた、栄養補給といっても先ほどの白い体液を再接種するのではなく、通常の水分補給とタンパク質を含んだ植物質の固形物、動物性たんぱく質を多量に含んだ乳牛からとられた白い液体をある一種の菌類を培養していわゆる発酵に似たプロセスを経てできたものであるが、時々自分の思考が面倒になるときがある、これはいわゆるヨーグルトなのだが頭で自分が客観的理解に近いと思われる説明を無意識でしてしまうのである。忙しい時に頭の一部がこういった説明を始めたときは自分に叫んでしまったことがある。自分ながら最低だと思う、こういったことがなければ少しはまともに生きられた気がする、こんな洞窟の奥底にあるような研究所で自分の研究に没頭するような人生ではなく、友人に恵まれ、普通に結婚して幸せな家庭を築く・・そんな人生もあったのかもしれない。しかし佳代にとってそれは未来の選択枝の一つではなく、現在では妄想という部類に分類されるべきものである。頭を横に振りながらそんな考えを追い出すように一気にキッチンで水を飲みほした。

後ろから何かに抱き着かれた、意味が分からず一瞬身を固くして震えた。

「おはよう、朝早いんだね・・」一瞬、無機質とも思える声を聴き状況を理解した。「おはよう~よく眠れた、何が食べたい、ごはん、それともわたし?」我ながらアダルトビデオの中でしか存在しないテンプレ発言をして動揺を悟られないようにする、なぜ取り繕うのか自分でも意味が分からないがそうしている。

「うーん、最後のおすすめが一番おいしいけどまだお腹がすいてないからごはんかな」この男も相変わらず意味の分からない受け答えをする、まあそこが人との距離感を適度に保っていたい佳代に会っているのだが、普通の感覚を持っているものであればこの時点で違和感を覚える会話であることは間違いない。「冷蔵庫の中に食べかけのフランスパンと豆腐があるけど他は頼まないとないわよ、上に頼んで送ってもらう?」佳代は現実的な問題に対処するために状況確認するために聞いてみた。「フランスパンでいいよ、結構古い?温めればいけるのかな?そうだバターとかある?」、「開けていないのが上の棚にあるはずよ」なぜか会話の余韻がなくなり現実的対応のための処理になっていく、現実的な処理だけをするものは社会という大きなシステムに取り込まれた機械と同じになっていく気がする。急に現実に戻されたように佳代は意識とは別に現実なやり取りを進めていく。

バターの封を開けてバターを無造作にフランスパンに塗りたくった時、後ろから佳代に抱きしめられた、「穴を埋めて・・・」感情の赴くままに佳代の腕を抑えてそのままベッドに押し倒した。寝起きだったせいか夢の中に半分居るような感覚でことが始まった。感情、いや本能の赴くままに蹂躙し、皺くちゃだったベッドは一段と皺くちゃになり、昨晩とはうって変わり佳代は感情的に求めてくる、2人がことを終えたとき佳代のようには涙が一筋流れ、皺くちゃのベッドの上で涙の形のように二人は重なり合い蹲っていた。


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