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謎の金髪ツインテ伝説と晒される俺 腹立たしい毎日

一応、恋愛小説なので

お前ら二人、早くいちゃいいちゃしてくれないかな…

困るんだよ…俺が!

バカ二人!!!!

 俺の知らぬ間にアリスは謎の超有名人として話題に成っていたようだ。

――板橋区商店街の妖精

――献立の救世主

――家計のカリスマ等、通り名は幾つも在る様だ。主な持層は主婦達。

 スーパーで買い物かごを抱え、お財布事情と迷う晩ご飯のメニューを考えるのは主婦に課せられた呪い。悩まない日は無い。

 頭抱えた主婦を見つけてはハイスピードで御節介を焼き低コストメニューとレシピを教えるのだ。

『金髪ツインテを見つけたら必ず声を掛けよ』板橋区の主婦達の合言葉。

 自炊はとても難しい。余り無く具材を使いお金を一円でも無駄なく使うには連携が必要だ。

 定食屋のメニューと値段を考えて欲しい。大量に生産して大量に売るからこそ原価が安く成る。

 一家庭で定食屋並みに原価を合わせるのは至難の技。複雑な計算が必要と成る…がアリスにしたら朝飯前の楽勝作業。

 アリス伝説はまだまだ在る。

 決して歩かないのだ常に全力疾走――理由は身体は常に全開で使わないと鈍るかららしい…

 御節介も度が過ぎて気が向いたら無料宅配お使いまでするというのだ。時には知らない御宅に上がり込み家事も行う。

 ありがたやありがたやで謎の金髪少女と会話をすると宝くじが当たる、夫が出世する、肌が若返る等尾鰭まで付く。序でにアリスが買い物するお店は必ず繁盛するとも。

 対した人気だ。

 見た目の美しさもありアイドルオタからも注目の的だそうだ。

 この数週間で板橋区は日本で一番カメラ小僧が多い地域になる。尚、撮影に成功した物は少ない。

 常に全力疾走なのでピンボケするのだ。

 高速シャッタリング機能を搭載したカメラでさえ追いつかない。カメラの機能は充分なのだがアリスを見つけて撮影と行動しても揺れる金髪ツインテは明後日の方向にダッシュしている。

 主婦を集め献立の講習会を行っている時は身長小さき故に姿が見えない。


 まあ話をまとめると、アリスは人気者なのだ迷惑な程に。勿論迷惑をするのは俺だ。

 今考えるとオカマの陰陽師の訪問は序の口だった。俺のアパートのインターホンが成らない日は無い。居場所を特定されているのだ。

「是非サインを…」

「撮影会お願致します」

「こ、こ、これ、僕の気持ちでふぅ」

「始めまして芸能事務所の…」

「お恵みを…」

「旅の者です、どうか一晩の宿を…」

「お布施です、どうかお受け取りを…」

「子供が病なんです、お力沿いを…」

 玄関開けたら毎回こうだ。全ての珍客を俺はグーで殴り追い返した。腹立たしい。

――で。

 俺も超有名人に成ってしまった。

――板橋区の破壊魔

――金髪幼女のヒモ男

――伝説の右を持つ男

――出在ったら即逃げろ殴られる、等等評判は上々だこんちくしょう!

 まあ、アリスと違って悪口が大半で掲示板で晒される始末。本当に腹立たしい。更に俺のアパートは観光名所に成っているらしい。謎の金髪妖精が住む家として。

 郵便物も多い。アリスへのファンレターと俺に対しての脅迫状。どれ程多いかと言えば郵便局員が段ボールを抱えて持ってくるほどだ。

 街を歩けば子供に指を刺される。女性には見ちゃいけませんとか小声で言われる。何もしていないのにアニメ関連グッツ専門店全てから出入り禁止を言い渡された。

 伝説の右の噂も手伝ってヤンキーからも絡まれる。変なおっちゃんにその右で世界を取らないかと言われた事もある。暴走族に囲まれた事も。その時ばかりはアリスが登場して暴力の専門家らしく能力を振るった。

 とまあ、俺の現状、日常は非常に腹立たしいの連続である。代理役候補が居るなら今すぐ連絡をくれ。アリスとセットで生活を交換しよじゃないか。


 でも救いは合った。オカマ陰陽師だ。案の定、住みついたのだが結果的に助かってる。ストレスだらけの日々カウンセラー役として非常に優秀で居ないと多分俺は気が狂っているだろう。


 噂には必ず尾鰭が付く。話は絶対に盛ら語られる。何やら俺と目が合うだけで妊娠するそうだ童貞なんだけどな俺は。

 毎日の様に掲示板にはスレッドが立つ。城羽恭介に関しては悪口の博覧会で一番えげつない事を言った奴が優勝とか謎なゲームが流行っている。

 板橋区の謎の金髪ツインテに関しては萌え萌え書き込みと主婦からの熱い支持や本日の目撃情報等…現実を解かっとらん連中が多い。 

 所詮三次元人間だぞ!バイオノイドだが…貴様らアニメを見ろアニメを!普通の感性なら二次元最高ひゃっほ~いじゃないか馬鹿野郎!


 で、当然、家族にも迷惑が掛かるのだが。有名に成りたい思っている諸君、俺様が教えてやろう!止めておけ、不幸な日々が待っている。

 偶には良い事いうじゃないか俺。


 ***

 

 板橋区内某マンション505号室。

 城羽みすず事フェリシア・エドラはご満悦。

 来たのね!おほほほほ、解って居たのよ始めっから。私が早かっただけ、時代が遅いのよ。毎日の届くファンレターの山とプレゼントの品々。人気とは素晴らしい。

 美貌よ美貌!顔と胸と脚!其れだけで天下を取れる此の世界、素晴らしいじゃない。

 あら、脅迫状…どれどれ…

『ロリコン恭介の姉として責任持ち器物破損の常習者で殴れる人物が居たら必ず殴るサイコパス…』

 ごめんね恭介!姉が人気者で。超超超美人な姉が居るんですもの(ひが)まれて怨まれて当然、之っ位の嫉妬は美人姉がいる者として税金と思い受け止めなさい!

 物事はね、常に逆の立場で考えるものよ。

 私みたいな超が三つも四つも付く姉がいたらそりゃあ私だって男なら脅迫状の千通は送るわよ。


 この娘に関しては全てが大丈夫であろう…とっても残念だが。

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