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玄関を開けたらファッションメンヘラ電波女が居た

――01


 理想の出会いとは何か?空から女の子が降ってくる、テレビの画面からドバーンと飛び出してくる、アニメグッツ専門店に行けば売っている。俺の求める出会いとはそんな処だ。面倒な自己紹介、空気を読んで正解を探しながらの会話、やれ記念日だと贈り物をする。考えるだけで――鬱。三次元の恋人なんて欲しく無い。あいつらは我儘――超超我儘。口を開けば愚痴、何かと金銭が掛かり食事代は奢り、服のセンスまでケチを付けてくる。正直、女には困って無い。家には素晴らしい嫁が12人も居る。安物では無い。全て1万円オーバーのフィギュア達。ゲームセンターの景品で採れる様な安い造りはしてない。圧倒的なディテール、素晴らしい芸術的造形、パンツを見ても文句は言わない。

 其れだけで満足。手を繋いでデート――反吐が出る。長電話で愛を囁く、考えるだけで寒気がする。要らん要らん要らん。三次元の恋人など必要が無い。やせ我慢では無く――事実、宇宙の真理。

 俺は浮気性。三カ月ワンクール毎に嫁が増える。困ったものだ。

 しかし仁義は心得ている。友、同士が先に目を付けたアニメキャラには手を出さない。

 それでは三角関係じゃないか。友情も壊れる。

 故に情報集めに手が抜けない。今日もインターネットで新キャラを探す。

 メール確認、SNS徘徊掲示板に張り付き毎日が忙しい。愛くるしいキャラソンで死ねる。毎日が其れなりに幸せ。

 しかしこのメールの量はなんだ?私とデートしてくれたら一億円あげます。約束された成功を逃していませんか?億万長者の道のり伝授します――スパムの嵐。趣味の懸賞でアドレスが漏れたのか。

 来季は不作だ。流行に乗った量産タイプのキャラしか居ない。俺の目は厳しい。理想の嫁を語らせたら二時間は止まらない。

 とにかく、美少女アニメキャラを観れれば世は全てこともなし。

 誰に迷惑も掛けて居ないし犯罪でも無い。油断すると社会的に死ぬ危険は在るがどんと来い。

 上等だ!愛は全てアニメに投入した。合コン――何処の外国語だ?リア充――暗号かなにかか?

 ラブホテル――秘密の軍事施設か何かか?

 俺の名前は恭介。立派な気合の入ったオタク。隠れオタクだがそれはマナー。秘密裏に楽しむのが王道――極み!深夜アニメ、パソコン、DVDが在れば生きていける。しかし21年も生きて要ると一人身では廻りがとにかく五月蠅い。彼女は居るのか――決まり文句の『誰か紹介しろ』卑猥なエロ話等、世間は外道。

 合言葉が『ウェーイ!』のパーティーピープル。アニメを観て修業しろ。人生観が変わるぞ!誘われてクラブなる場所に行った経験はあるが地獄だった。奴らは虫。ジャガイモ。脇道の石っころ。

 何故、酒を飲む。何故、三次元の女はやかましい。タバコを吸うな。お前らは税金を通常の三倍は国に納めろ。迷惑料だ!せめて誘うなそっちの世界に引き込むな。優雅な引き籠り人生を邪魔しないでくれ。

 土日はアニメ観賞で忙しい。世界よ俺の美少女アニメ趣味を頼むから邪魔しないでくれ。

 と、想っていたらインターホンが鳴る。通販は滅多にしない。現物を観て買う派だ。

 新聞の勧誘か宗教勧誘か何かの営業か?対応策は全無視。触らぬ神に祟り無し。

「――チッ!」何分インターホーンを鳴らし続ける。OPのクレジットを見逃したじゃ無いか。始めから再生為直し。此処は文句の言い処、アニメ観賞を邪魔する者には正義の鉄槌を!

 ドアを開けたら美少女が――居た。金髪ツインテ、グリーンの瞳に眼鏡っ子。黒ゴスロリで乳が乳が――特盛り!!おまけに小顔。ウルトラストライクゾーンじゃないかコンチクショウ。

――罠だ。罠に違い無い。高額な壺を売りつける気だ。両手を合わせそっと扉を閉める、が。

「あ、厚底ブーツ!」お前は刑事か!扉が閉まらない。

「ご当選おめでとうございます。私の名前はアリスと申します。恭介様のお嫁さんに成りに来ました」

 壺だ、絶対に壺を買わせる気だ。表札が無いのに何故に俺の名前を知っている。入念な調査をして女を売りにし現金を奪う輩に違い無い。しかし――無駄に可愛い。三次元にも夢が在ったのか。話を聞くだけなら害はあるまい。契約書にサインしなければ大丈夫。

「何用で御座いましょうか? 壺なら結構です」

「はい、私の名前はアリスと申します。恭介様のお嫁さんに成りに来ました」

 同じ言葉を繰り返す――強敵電波女、地雷だ。踏んだら一生松葉杖生活。

 交友関係は大切にするべき。パリピ上原なら地雷除去に詳しい。もっと交流して対応策を勉強するべきだった。

「とりあえず、お邪魔致します」

 死ぬ、部屋を見られたら社会的に死ぬ。抱き枕に萌えシーツ、壁一面の棚にはアニメグッツ。18禁物のタペストリーもマズイ。

「お願いしますから帰って下さい」って、こいつ力が強い。身体を吹き飛ばされた。お嬢さん過剰暴力が過ぎやしないかい。終わった、色々と――最悪。


――02


 靴も脱がないで笑顔で正座しやがる。長期戦の構えテコでも動かない素振り。ここはハッキリと、

「壺も買いません、入信もしません、新聞は漢字が読めないから要りません。ネットの乗り換えもしません。警察を呼びます」

「城羽恭介、21歳。2月10日生まれ。身長171cm体重61キロ血液型はA型、趣味、朝から深夜までの美少女アニメ観賞。烏龍茶しか飲まない。ニラが嫌い。球技全般が苦手で…」

――やっぱり壺だ。高額な壺を売りつける気だ。個人情報が全て握られてる。揺すりの達人。

 後ろにはおっかない組織が在るに違いない。むしろ買うべきか、買った方が命は安全かも知れない。学生ローンが効くかは相談しよう。

「私の名前はアリスと申します。恭介様のお嫁さんに成りに来ました。御当選おめでとう御座います。この身体は半有機体ガジェットです。メインフレームは64合金チタン、皮膚や筋肉はハイブリットDNAで構成され栄養補給は水と空気と光だけで充分。理論上不死身です。演算処理はロシア、メイルルー所有の量子コンピューターが行います。性交、出産も可能です。ネットが断線すると意識の無い人形に成ります。電波には極力注意して下さい」

 流石、壺売り揺すりタカリ職人。トンデモ発言のオンパレード。想像の斜め上45度――惨敗。

 そうだ、契約してクーリングオフしよう。一刻も早く帰ってもらおう。三次元女子はは精神汚染の危険が大きい。特に特盛りは…此処は男らしく嬉しいと言おう。だが二次元嫁の方が美しい。

「おっぱいが気に成りますか? 触りますか?」

 心を読まれてる。四面の楚歌大合唱、平和って壊れ易い。正直、泣きたい。

「今から同意事項を説明致します。私が集めたデータの所有権利はメイルルーに帰属し如何なる事が在ろうとも情報の抹消は致しません。私を兵器として扱う事は厳禁とします。第三者への譲渡、譲渡申出、オークション出品等は堅く禁じます。違反した場合は賠償責任が生じます。不法投機した場合も賠償責任が生じます。廃棄する時は正式な手続きをお願致します。私を受け取るならキスを、拒否するなら左手のリングを外して下さい」

 意味が解らない。今の俺の精神状況なら宗教勧誘には簡単に墜ちる。いっそうの事、祈るか。祈り方しらね~。インターホンが鳴ってドアを開けたら美女が居て私は嫁ですとかキスしろとかメイルルーとか…

 メイルルー!!ロシアの大富豪、シリコンバレーのATMユーリミルナー氏の持ち会社じゃないか。

 量子コンピューター、ハイブリットDNA、人形?アンド…ロイド…?

「アリスさん、もしかして、まさかのまさか、アンドロイドちゃん?」

「正確にはバイオノイドです。人造の人間ですが人工ロボットでは在りません。恭介様との境界線は曖昧です。出産可能なので生命と同じですが死の概念は在りません。私は自ら思考し意識があり笑い泣き、悩み、想像もします。眠る時は夢も見ます」

 冗談で言ったら、其れっぽい事を返しやがった。SFオタクか。

 ゴスは電波女が多いと聞くがアリスは本物だ。本名かも怪しいキラキラネーム。一級品の地雷。自衛隊を呼びたい。警察じゃ無理だ。

「私の受け取りを受諾しますか? それとも拒否致しますか?」

 冷静に成れ。

 全ての答えは大抵アニメに在る。俺の哲学だ。オタクを舐めるな。似た様な作品が在った筈。押し掛け女房パターンで電波女。

――違う!こいつは壺売りか石売りだ!新手のネズミ講だ!次に発する言葉は健康関連と睨んだ。

「恭介様が2017年4月20日22時35分10秒に応募した懸賞ハイスペックパソコンのモニター人類最後の発明、生態系の頂点それが私です。私の受け取りを受諾しますか?」


――03


 非科学的では無いが現実的じゃない。量子コンピューターの研究は確かに進んでいるが後30年は掛かる。アリスはイエスかノーしか問わない。なら答えは無回答を選ぶ。選択しない事を選択する。

「とりあえずお帰りお願致します。また来週」

「何故怖がるの? 壺売りの少女じゃないわ。石売りでも無いわ。健康食品も関係無いわ。私はアリスお嫁さんよ」見透かした目。心を読み過ぎだろ。発言といい割とマジで恐怖を感じる。タイプだからって好きに成る、恋が発生する事は無い。謎の少女アリス、感想――気持ちが悪い。

「通信! 携帯電話が鳴ります。断った方がいいわ、内容は資金援助の催促、受け答える必要は在りません。彼は口座に62351円の預金が在ります」寸秒後、携帯電話が光る。

『上原:悪い今月ピンチ、貸せる分金貸して』既読は付けない様にしよう。彼女の言葉は本当だった。まるで預言。気持が悪いを通り越して不気味怪奇。

「受諾してくれないと初期設定に移行出来ません。回答をお願い致します。受諾ならキスを、拒否なら左手のリングを外して下さい」――また同じ言葉を繰り返す洗脳の常套手段。

 この子は一体どんな脳味噌をしているのだろうか。

「脳味噌は在りません。頭の中は通信デバイスしか在りません。完全自立したバイオノイドは個を持ち壊れた場合は死と同義です。製作は可能ですが現在の技術では量子コンピューターの小型化は数年先に成ります。また演算処理を個を保ったままするメリットが有りません」

 また心を読みやがる。電波発言が止まらない。ハイスペックメンヘラめ!ファッションメンヘラの可能性も捨てきれない!壺の線は外れか?

 ストーカーの匂いもする…モテル男は辛い。小学校から今まで告白された回数32回のハイスコアを持つ俺様!付き合ったのは小3の一回だけ。

 相手の名前は――忘れた。

「結婚式はドレスが良いわ、子供は3人産むの。一人っ子じゃ可哀想だもの。白い策が有る一軒家に住んで犬も飼いたいわ。家事はしないの、使用人を雇うわ」

 無邪気な俺が小3で彼女を作った瞬間言われた言葉。要求だらけの意見にドン引き。5分でお別れをした。それ以来、彼女を作った事は無い。

 やつらと来たら無駄に要求が多い。告白の度に身勝手な夢を押しつけ期待をしてくる。

 21年間生きてきた回答、女の子はアニメキャラに限る。

 家族の影響も強い。現在高校教師をしている姉、城羽みすずは逆切れと暴力が専門で露出狂と来たもんだ。なにかに付けて脱ぐ。意味も無く脱ぐ。家族の恥、乙女ロードの有名人で『フェリシア・エドラ』と呼ばないと器物破損を起こす人間の皮を被った悪魔。ネット上でも有名でフォロワーは50万人を超えている。エロだけで人気を取る卑怯者。

 俺は三次元の女が嫌いに成った。

 ファッションメンヘラの黒ゴス女アリス、俺を口説きに来たのか?――無駄だ。

 生涯、恋愛する気は無い。彼女は作らない。


――04


 押し売りや宗教勧誘では無さそうだ。最後の最後で持ちかけてきそうだが今の処は気配が無い。黙って居れば美人、そうなのだ女は黙って居れば害は無いのだ。気になる何処で俺の情報を集めた何故俺を選んだ。

「恭介様の情報はネット上にログが散乱してます。私は想いました。なんて救い様の無い人間なのだろうかと。悲しく成り涙を流しました。懸賞応募の当選規準はランダムではありません。世界で一番の駄目人間を選びました。私はアリス。彼方の救世主に成りたいのです。人間に貢献したい――切に」

 真の男女平等主義者を目の前にして、さらりと酷い事を言いやがる。殴るか、グーで殴るか。

「アンケートに好きな事は嫁と記入されましたね。だから私は嫁です。恭介様の趣味に合わせました、顔も体型も髪と目の色も」

 嫌われよう。心を覗かれるのは気分が悪い。暴言のスペシャルスキルは封印したが――今解放を。

「乳に栄養持ってかれて電波発言ガイキチの脳無しアリス、年齢は?」

 しばらく暴言を言って無かったからキレが無い。腕が墜ちた――情けない。

「ネットに接続し意識を獲得したのは2017年5月1日で身体の完成日は2017年6月10日。アメリカ西海岸領海水域ギリギリに停泊している実験船に身体のスペアが在ります――ARPANET最初のメッセージが送信された日1969年10月29日22:30に私の頭脳の基礎、魂が生まれました」

 訳が解らないよ。

「魂年齢は47歳と22分55秒、意識を持ち始めてから62日と25分15秒、身体が動く様に成ってから21日と45分8秒です」

 負けた、白旗を振ろう。

「私は存在の属性を最大限まで広げる事が出来ます。何れ時間を遡る事も可能です」

 三段構えの連続コンボ。俺、本日陥落敗戦の日。

 しかし妙に何故か楽しい。オタク的発言が落ち着く。成りきり系女子、悪くはない。アニメ声も…。

 だが、だがだ――三次元生身の女。関わって絶対に得する筈が無い。

 理由色々!

 第一に身元不明で何処の誰だが知らない不審者。

 第二に漂う地雷臭、電波発言の乱射。

 第三に強引で力が強く不法侵入犯罪行為も余裕ときたもんだ。

 アニメに此の子が居たら学校にへんちくりんなサークルを作ったり部活を新設して迷惑ハプニング生産工場タイプヒロイン。得をする処か巻き込まれて年がら年中『やれやれ』が口癖に成りパシリ扱いされる――乗るか!誰が乗るかそんな話。損な話!

 人生に物語は要らない。無論アニメにも物語は要らない。内容が無いのが正解なのだ。

 玄関を開けたら見知らぬ美少女が居た。充分です。満足です。一生分のドラマを感じました。

 では、お帰り願おう。さようならアリス。不思議の国に帰ってくれ。

「恭介様は受諾を拒否なされますのですね。では左手のリングを外して下さい」

 また心を――呼吸、脈、表情、目の動きや手の動きだけで思考を読みとる術が在った様な、聞いた事が在った様な、確かそんなアニメが在った。関わると心が汚染する教授だ。

 左手のリング外してやろうじゃないか。

――待て。

――ちょっと待て。

――大分待て。

 滅茶苦茶ハードルが高い。女性に触った事なんてここ数年無い。経験が無い。

 リングを外すには手を触る。このドキドキ感はなんだ――悪魔の儀式、死の契約、魂を抜かれる。

 手を触るだけ――冷静に成れ。なんの為の18禁物のタスペトリーだ。3万円したんだぞ。心の安定剤、楽園の入り口俺の愛。三次元の黒ゴスロリっ子金髪ツインテ不思議ちゃんより数段各上の存在。

 ビビる必要は無い。この部屋には天使が沢山居る。愛は二次元。二次元は愛。

 美少女専門アニメオタク城羽恭介とは俺様の事だ。

「さあ、早く左手のリングを」

――強烈アニメ声!萌え殺しに掛かってきたな。

 だが甘かったなお嬢ちゃん。そのアニメ声が命取りだぜ。オタク魂ピークパワー、天才的解決策が思いついたぜ。手に触れなければ良い。指輪だけ触れば問題無い。楽勝では無いか。

 此の勝負、貰った!


――06


 城羽みずずは今日もご機嫌。常に御機嫌。教師に成ってからは金には困らず生徒は皆奴隷。最近おっぱいのサイズがFを越えたので餓えた男子どもに魅せつけるしか無い――と考えるトホホな性格で身体のラインの確認が趣味。美の追及姿勢は素晴らしい限り。

 今日は可愛い一人暮らしの弟に生活費を渡す日。振り込みは味気ない。手渡しだからこそ伝わる愛の心。慣れたアパート、玄関、籠るオタヒッキーに大人の身体を魅せつけ社会復帰を促すのは家族の義務。駄目な弟に現実を教える――現実に目を向けさせる女の良さを教える、教育者の鏡――城羽みすずことフェリシア教諭、フェリシア・エドラこと城羽みすず姉は『恭介VSアリス』が戦う戦場に乗り込む。

「ほれほれほれ☆” 命の生命線、現金現金生活費~フェリシアお姉さんを崇めさない、称えなさい」

 優しい言葉とは真逆に弟に蹴り(手加減無し)を入れる。

 恭介とアリスの身体が床に倒れ唇と唇が重なる。勝負は結果が出るまで油断は禁物。

「あら! 女連れ込みとは成長したわね」

「――!? 馬鹿姉殺す! ラッキースケベならぬアンラッキースケベ。抜かった」

「恭介様の受諾受け完了致しました。たった今から私は正式な嫁となります」

「嫁気どりとは気が早いわね。スタイル勝負で勝たないと弟は上げません」

 とりあえずスーツ――上半身を脱ぎ下着を披露するフェリシアお姉さん。

「FよF! フェイバリットのF! 黒ゴスちゃん負けを認めなさい」

「私、アリスには勝負の観念はありません。全て勝ちますから」

 アリスもアリスで脱ぎだし全裸を披露する。

「色艶形バランス全て恭介様の好みです。そして私の身体は10代設定。貴女の身体は20代。脱ぎっぷりも私の勝ち。貴女は上半身下着。私は全裸」

 女同士で年齢を持ち出し喧嘩はタブー中のタブー。

 お姉さん逆切れモードフルスパーク!警報イエローをすっ飛ばしレッド点灯。

 負けとは言え、全裸の少女に反撃したら恥の上塗り。其処だけは大人、奴当たりの対象を探す。弟の物は姉の物、姉の物は姉の物。自分の物なら扱いは自由。

「悪の元凶は二次元オタク美少女趣味、壊す、破壊よ破壊!」

「私、アリスも同意致します。嫁は一人で充分です」

 何故か意気投合した二人は破壊魔と化し恭介の財宝を殲滅する。

 手始めにアクリルケースが割れ12人居るフィギュアの一人目、眼鏡っ子が壊れる。初回生産ワンロット物の貴重品。価値を知っててやってる暴力姉さん。

「12頭身とか私よりスタイル良いじゃない。気に入らない。全て破壊」

 萌えシーツが破かれる。限定100枚のプレミア品。笑顔のロリっ子全裸。

「私が正式な嫁、私が正式な嫁、私が正式な嫁」

 18禁タペストリーはガスコンロで燃やされる。

 全裸のツインテと下着姿の姉はもはや特撮怪獣映画さながら破壊活動を止めない。

 城羽恭介は泣くしか手持ちのカードが無かった。

 次々に割れるDVDは全て初回限定版。

『三次元の女は関わると最悪を撒き散らす』間違いでは無かった。

 哀れ恭介。人生で一番の不遇の日を放心状態で見守るしか無かった。

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