つながり
「マルチインターフェースとでもいおうか。」
浅川は、向井の瞳を覗くようにそう言った。
2人の空間は、白一色で、いくつかのモニターが無秩序に存在していた。
薄型のモニター、ブラウン管のもの、
各年代を感じさせるものがそろっていた。
「パソコンを使っていてると、時々自動更新するだろう?
人間は、それが常に起きている。
つまり、連続スペクトル体というのが、我々自身、つまり意識の一つの形なんだ。」
あるモニターは、文字の表示を始めた。
レン、
トオル マグチ、
「2人の合流は、わかっていたことだ。
2人は、横の並びなんだ。
どちらかが、上位で、片方が下位ということではないのだ。わかるだろう。」
と浅川は、向井の表情を察し、
「そうだな、『パラドクス症候群』というものが、
君たちのリアルって世界では、広く認知されていただろう。
それこそ、エデンとリアルは、並行する同等価の世界という事なんだよ。」
向井は、上にうかって、顔をあげ、
涙をこぼした。
「私は、、、」
「そうだ。君は、、」
と浅川が、言葉を発している途中で、
「君は、2つの世界の住人ではない。
2つの世界ともシュミレーテッド計画の一環だった。」
と遠くの方から別の人物の声が聞こえてくる。
「あなたは、、、」
と向井は、その人物に向かって問いかける。
「僕は、サイ・ヒラト。
消滅した世界の遺物だよ。」
レンは、負傷していた。かなり重傷だった。
「この2つの世界の矛盾を証明することが、私の使命だとずっと信じていた。」
間口は、レンを抱えていた。
銃弾と爆撃と人々の怒号が聞こえる。
「私は、物心ついたときから、争いの中にいた。
両親は、反体制勢力の中心メンバーだったんだ、、、。
そんな中で、私に色々な事を教えてくれたものがいた、、、、」
「僕は、エデンと言われる世界で、
レンにいくつかの知識と、彼女自身が自発的に『疑』を行える存在にした。」
とヒラトは、説明を始めた。
浅川は、ヒラトがこれから話し始めることを察してたか、
割って入るように口を開いた。
「つまり、間口がエデンで、こちら側へと接続するために
ヒラト君は、行為をしたのだろう。
そして、いま、それは完了しようとしているわけだ。
だが、これじゃまるで、
ヒラト君、君は神にでもなったつもりか?」
苦笑いを浮かべる浅川。
それを見つめるヒラト。
2人を心配しつつ、モニターをみつめる向井。
「私は、、、
リアルとエデンを見つめなおす必要があった。
独断で私は、この世界に接続したんです。」
驚きの表情を隠せない、浅川。
「なんだって、、」
ヒラトは、すこし笑顔を浮かべ、向井を見つめる。
「そうだね、君は、最初そのつもりだったようだね。
僕も自分の世界がシュミレーションだと気づいたときは、かなり答えたが、
ある意味、価値観の転換ができたからここにいるのだと思う。
確かに、現実というものは、
僕たち自身の思い込みでできていて、
物理的な別空間は、存在しないように思われている。
でも、僕らは、常にいろいろな世界を想像しているじゃないか。」
向井は、静かにうなずく。
そして、ヒラトに向かって
「私たちという存在は、共有されるものなのかもしれない。
多くの他者に見られ、自分自身とは異なるイメージをもつ私たちが、独り歩きして、
でも、そのどれもが、本当の私達なのかもしれないです。」
ヒラトと向井は、浅川がその空間いなくなっていることに気づく。
浅川は、ログアウトをしたと思っていた。
2人の話を最後まで聴いて。
「冗談じゃない、、、では、この世界とはいったい何なんだ、、、」
浅川の見つめる先には、
『現実感の消失、パラドクス症候群』
という見出しのニュースが流れていた。
「全体の総和以上のもの、それが私たちの存在を許す世界だろう。」
浅川の耳元でそう、声が聞こえた。
その声は、間口とレンのものだった。




