えええええええええええええ──っ!!
「はいはいはいはい」
「どーも」
「──はい、どーも」
「どーも」
「早いよ! いや、違うな。遅いのか? というかちゃんと合わせてよ!」
「えっ、早かった! 今のだよ!? 早かった?」
「早いよ! いや、違う。遅いのか……? あー、もう、とにかく本当に分かってない! お前は本当に分かってない! いいか、タイミングなんだよっ!」
「うん!」
「あー、もう本当に分かってない! もうそのリアクションでもうダメ! いいか、突っ込みっていうのはなあ」
「うん!」
「タイミングなんだよ」
「うん!」
「だからちゃんと、タイミング合わせてよ」
「うん。分かってない」
「うん分かっ、分かってないよ本当に! 分かってよ! なんだよ分かってないって!」
「いや分かってないから」
「分かってないの?」
「うん。分かってない」
「おかしいよ、それ! なんだよ分かってないって」
「ええええええええ────っ!?」
「おいなんだ、その驚きは?」
「いや、俺、突っ込みじゃん? だから……」
「いやいや、だからじゃないでしょ。だからじゃないよ! あきらかに違うよ、それ。違う違う。あきらかに違うよ、それは」
「違った?」
「違うよ。あきらかに違うよ、それ。なんでいきなり」
「ええええええええ────っ!?」
「いや、だから違うよ。それは違うよ。なんで驚きになるの!?」
「違った?」
「うん。違うよ、それ。あきらかに。あきらかに違うよ。なんでそうなるの、何事かと思うじゃん……」
「違った?」
「うん、違うよ、それ。あきらかに。あきらかに違うよ、それ。なんでだろう? なんで、うーん……、違うんだよなあ……」
「違った?」
「うん、違うんだよなあ。そもそも──」
「ええええええええ────っ!?」
「──そこからして違うんだよなあ。いきなり過ぎるでしょ?」
「えっ、いきなり過ぎた? うそマジで? 今?」
「マジだよ。今だよ。いきなり過ぎるよ。そもそも──」
「ええええええええ────っ!?」
「そこからして違うって言ってんじゃん!」
「ええええええええ────っ!?」
「ええええええええっ! じゃないよ。というか今のは違うでしょ? なんか、わざとっぽかったよ今の。凄い、狙ってる感じしたし」
「うそ? 狙ってる感じした、今の?」
「したよ。凄いした。ていうか狙って──」
「ええええええええ────っ!?」
「じゃないよ。驚くところじゃないよ! 今の。今のは違うよ」
「違った?」
「うん、違う。まず、驚く要素ないし」
「なかった?」
「うん。まったくない。そもそも──」
「ええええええええ────っ!?」
「だーかーらー、違うよ! タイミング違うよそれ!」
「違った?」
「違うよ。むしろ、違わないと思える方がどうなんだよ?」
「どうだった?」
「いや、どうだった……じゃなくて。こっちが聞いてるの。こっちが。それなのになんでいきなり──」
「ええええええええ────っ!? じゃないよ」
「じゃないよ、じゃないよ。本当だよ。ぜんぜん、じゃないよじゃないよ! 驚くタイミングどころか、じゃないよじゃないよ!」
「ええええええええ────っ!?」
「うるさいよ!」
「うるさかった?」
「うるさいよ! あと、やっぱり驚くところが違う」
「違った?」
「うん。違──」
「ぇぇぇぇぇぇぇぇ────っ!?」
「いやいやいやいや。静かにすればいいって……、というか、十分うるさいよそれも」
「うるさかった?」
「うん。音的にって言うよりも、雰囲気?」
「雰囲気?」
「うん。雰囲気的に」
「うるさかった?」
「うん。どっちかっていうと」
「ええええええええ────っ!?」
「だから、うるせえよ!!」
「ぇぇぇぇぇぇぇぇ────っ!?」
「だから、それもうるせえよ!!」
「うるさかった?」
「うるせえよ! そもそも──」
「ええええええええ────ぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
「だから、うるせえよ!!」
「うるさかった?」
「うん。とっても。かなり」
「なんか、ごめんね」
「うん。まあいいけど、ちゃんとやろうよ。ネタ合わせなんだから。ちゃんとやろうよ」
「ええええええええ────っ!?」
「うるせえよ! なんなんだよ!」
「ネタ合わせだったの? 今?」
「今だよ。そうだよ。ネタ合わせだよ。そもそも何だと──」
「ええええええええ────っ!?」
「だから、うるせえよ!!」
「ぇぇぇぇぇぇぇぇ────っ!?」
「だから、それもうるせえよ!!」
「────────────っ!?」
「分かんないよ! 何だよそれは……分かんないよ!」
「分かんなかった?」
「分かんないよ!」
「うん。なんか、ごめん……」
「いや、良いけどさ。でもネタ合わせなんだから──」
「ええええええええ────っ!?」
「うるせえよ!」
「ネタ合わせだったの?」
「だからそう言ってるじゃん! ネタ合わせって!」
「なるほど」
「いや、いまさら納得されても知らないよ。そもそも──」
「ええええええええ────っ!?」
「うるせえよ!」
「じゃあ俺、突っ込みしないとじゃん」
「そこ? 今そこなの?」
「ダメだった?」
「ダメだよ。ちゃんと合わせてよ。お互いに分かってないと、本番になったら──」
「ええええええええ────っ!?」
「うるせえよ! 今度は何だよ?」
「本番あるの?」
「あるよ。そもそも、何でないと思ったの。本番あるよ普通に」
「えっ、じゃあ頑張ろう!」
「うん。頑張ろう! ……って、頑張ってるよ! 凄い、頑張ってるよ。むしろ空回り気味だよ……」
「うん。ドンマイ」
「お前が」
「ええええええええ────っ!?」
「だから、うるせえよ! 今度は何なの?」
「いや。怒られそうだったから、つい……。ディー、フェンス!」
「ディーフェンス、じゃないよ。小憎たらしいポーズまで決めて、そんなんで誤魔化さないでよ。いらない知恵つけちゃって、もう……」
「うん。ごめん」
「いや、いいけど。でもここからはちゃんと──」
「ええええええええ────っ!?」
「今度は何だよ!」
「いいの?」
「何がだよ!?」
「いいって言ったじゃねえかよ!!」
「切れるなよ! いきなり過ぎるでしょうよ、それ」
「いいって……」
「言ったけど、違うでしょ。そういうのじゃなくてさ──」
「違った?」
「違うよ。ぜんぜん違うよ。俺が言ってるのは、良いけど良くないんだよ」
「どっちだよ!」
「悪かったよ!」
「ええええええええ────っ!?」
「だから、うるせえよ!」
「だって逆ギレ……。いきなり……」
「はいはいはい。ごめんね。ごめんね。逆ギレして、ごめんなさい。どうかこの通り」
「気持ちが入ってない……」
「ど─────────────────────────────────うかこの通り────っ!!」
「うるせえよ!」
「悪かったよ!」
「ええええええええ────っ!?」
「なっ? 分かったろ?」
「うん。戸惑うね……」
「戸惑うよ。本当に。さっきからお前がそれ、ずーーーっとやってたんだよ」
「うん。戸惑うね……」
「だろ? だからさ、ちゃんと真面目に、ネタ合わせ──」
「ええええええええ────っ!?」
「うるせえよ!! だから何だよ今度は!!」
「まだネタ合わせなの?」
「ネタ合わせだよ。そもそも、まだって何だよ、まだって?」
「終わったかと……」
「終わってないよ! そもそも何で終わって思うの? 終わってないよ」
「いや何か、てっきり」
「てっきりじゃあないよ。終わってないよ、ぜんぜん。ぜーんぜん終わらないよ」
「──そう、この街は終わらない街。今日もあなたの元へと誰かが訪ねて来て、そして二人は──」
「ええええええええ────っ!?」
「うるせえよ!」
「お前もだよ!」
「ええええええええ────っ!?」
「──じゃないよ! 終わらない街って何? あなたって誰?」
「いや、つい……」
「ついじゃないよ! そんなナレーションいつ決めたの? 勝手に入れないでよ」
「ダメだった?」
「ダメだよ。いきなりじゃ、分かんないよ。もっとこう、ちゃんと合わせてよ!」
「ダメだった?」
「ダメだよ。ほら、もっとこう、」
「うん?」
「……うん。ほらさあ。今くるかと……えーっていうの……」
「え、あれ、何。ごめん、よく分からないや。何?」
「いや……。えええ──っていうの、ずっと、やってたから。それで。てっきり。ごめんなさい、なんでもないの……」
「いやいやいやいや。えっ。えっ。えっ、何、ごめん聞こえなかった。えーと。何、ねえ、何、ねえねえ? 今の。何、ねえ、何、ねえねえ?」
「いや、本当に。ごめんなさい」
「え。え。え。何、本当に? 本当に?」
「もう本当に、ネタ合わせやらせて下さい」
「もーーーぅ、仕方ないなーーー。それじゃあ」
「ちゃんと……ボケますんで……、勘弁して下さい……」
「ええええええええ────っ!?」
「だから、何ーっ?」
「ボケるの?」
「ボケるよ!」
「ボケるの?」
「いや、うん、ボケるよ。えっ何だと思ったの?」
「俺が突っ込みだよね?」
「うん。それで、俺がボケるよ」
「うわ。何か、コントみたい!」
「コントだよ」
「ええええええええ────っ!?」
「──じゃないよ。ていうか、そこ?」
「うん。ごめん」
「いや、いいけど。でも今そこかよ……」
「ダメだった?」
「いや、なんか。先が長いなあって。今そこかあ……」
「ごめんダメだった?」
「いや、うん。いいよ。頑張って完成させれば」
「ええええええええ────っ!?」
「だーかーらー、何っ?」
「完成するの?」
「するよ。きっと。っていうか、させようよ!」
「させようよ」
「うん。頑張ろうね」
「頑張ろうね」
「ファイトだぜ」
「ファイトだぜ」
「…………」
「…………」
「しっかりね」
「しっかりね」
「元気だしてね」
「元気だしてね」
「…………」
「…………」
「モンゴル、モンゴル、モンゴル、モンゴル。よーい、ドンドン。いっとーしょーっ!!」
「…………。何それ?」
「やってたじゃん!? 物真似してたじゃん!?」
「大丈夫?」
「しっかりね……って。元気だして……。あっ、うん。大丈夫」
「そう。じゃあコントだっけ? ネタ合わせしようか?」
「うん……。あれ、おかしくない?」
「俺、突っ込みっだよね。確か?」
「うん……」
「本当に大丈夫?」
「うん。大丈夫だけど、何かちょっと」
「しっかりね」
「あれー……。えー、というか、こう。あれー……」
「ええええええええ────っ!?」
「今度は、何───────っ!?」
「言ってみただけ─────っ!?」
「だけなの────────っ!?」
「ごめんねえ───────っ!!」
「いいよ─────────っ!!」
「楽しいね────────っ!!」
「ねえ──────────っ!!」
「コント頑張ろ──────ぅ!!」
「う───────────ん!!」
「ていうかさ!」
「うーん!」
「除夜の鐘ー」
「除夜の鐘ー」
「どうもー、ありがとうございましたー!」
「どうもー、ありがとうございましたー!」
「良いお年をー」
「良いお年をー」
「お終い」
「ええええええええ────っ!?」
「ええええええええ────っ!?」
「ええええええええ────っ!?」