プロローグ
さて、書き始めました!
趣味が詰まった作品で、稚拙な文章ですが、お許しを!
『退屈だな……。五百年間生きてきたけど、なんも面白いことない……
なので家出します。探さないでください。(てへっ☆ 』
アフロへの置手紙を地蔵の頭に書きつける。僕はこんな体でも神だし、地蔵如きに呪われることはないだろう。
ちなみに、アフロというのは、見た目は若いけど、心がものすごくおばさんクサい神で、僕の仇敵だ。
僕は、常世、薬、術技、知識、お酒の神様。こんなに役職与えられても、処理しきれない。
毎日毎日、働けって言われて、じゃあしょうがないと言って仕事したら、もっと丁寧に仕事しろ!と言われる。……理不尽だ。
でも、そんな生活も今日で終わる!この退屈な世界から逃げ出す算段が付いたのだ。
手順その一。体を二つに分ける。
そのままの意味で、体を二つに分けるのだ。といっても、上半身と下半身がセパレートなんてことにはならない。ぽけ○んにいたあの紫の流動体のように分裂するのだ。
この術の開発には、少彦名神の僕でも2年を要した。別にメタ○ンにこだわらなきゃ1年で済んだろうけど。
手順その二。異世界へ飛ぶ。
これは簡単だった。神隠しという呪術をちょこっと改造して、異世界へととべるようにした。ちなみに、なぜ異世界にこだわるのかというと、地球じゃどこ逃げても他の神に連れ戻されてしまうからだ。
そんなわけで、暇つぶしに読んでたラノベ的展開に胸を躍らせながらいざ行かん!
まずメタ○ンだ。
……うん。問題なく分かれた。ただ、なんか子供になってしまった。まあ小人で押し通せばどうにかなる!
次に異世界。
…………………僕の意識はここでブラックアウトした。
☆☆☆☆☆
目が覚めると、少しばかりふくよかな40歳ぐらいであろうお姉さんが、僕を膝の上に乗っけて頭を撫でつけていた。
わーお、このおば、お姉さんは巨人族なのかな?いくら分裂して子供になったと言え、おばさんの顔だけで僕のお腹ぐらいありそうだ。
とはいえ、何か話しかけないと……。と……。と……。
?と……・・・・・・・・・
(声が……出ないだとっ!)
いや、正確にはあー、とかうーとか呻くような声は出ているのだが、言葉は全く発せれない。もしかして詰んだ……?事故?このおばさんが何かした?
改めて周りを確認すると、おばさんの後ろに小さな男性がいる。おばさんと比べるととても若く、20代ぐらいなのではないだろうか。
そして、さらに不気味なのはこの二人の熟睡ぶりだ。おばさんの方は涎を垂らして、小さな男性の方は首をくの字に折って寝ている。
ん?おばさん涎?もしかして?体を少しずらして、おばさんの口元に注目する。そこには今にも垂れんばかりの雫が……
(ぎゃああああああああぁぁぁぁぁっぁ!)
僕の叫びは決して声となることなく、そのまま僕は気絶してしまった。
☆☆五時間後☆☆
さて、悪夢から五時間が経過した。僕はだんだんと事態が飲み込めてくる。
僕はなぜか赤ん坊の姿で異世界へととばされたようだ。そこでこの人たちが僕を拾ったのだろう。というのが、現時点での有力な説だ。
目の前にいる、金髪の女性が僕を拾って、あのおばさんは雇われた乳母さんなのだろう。
とはいえ、さっきの男性と言い、この女性と言い、小人には美男美女しかいないのだろうか。見た目的には美少年、美少女だが……
「いい子、いい子、シエル君はいい子~。私がおなかを痛めて生んだかわいい子~大きくな~れ」
あれ、遠まわしに否定された。ぐふっ!
シエルというのが僕の名前だそうだ。
少彦名は完全に消滅している。
由々しき事態だ!……いや、別に良いんだけどね。
「ほーら、シエル。おっぱいよ」
そう言って胸を差し出してくる母。透き通るような金髪を耳までかき上げて、首を傾げながらのその行為は扇情的だが、興奮はしない。
素直に吸い付く。すると、温かな……ごにょごにょ
(あのおばさんがお母さんじゃなくてよかった)
それだったら今頃踵を返して地球へ舞い戻っていたことだろう。
☆☆2歳になった☆☆
最近呂律がしっかりしてきて、歩くことも問題ないぐらいに成長した。
それでも、転んだりと言ったことはなくならない。成長した姿での歩行の感覚が抜けないのだ。
まあ、それは成長すればどうにでもなるだろうが、まずは当面の問題だ。
まず、外に出させてもらえない。いつも外に出ようとすると、おばさんが飛んできて扉を閉めてしまう。
おばさん曰く、
「お外にはこわーい魔物もいるんでちゅよ~」
だそうだ。アフロとかぶって、とてつもなくうざく感じられる。
日々の激務がなくなったとはいえ、退屈な毎日も拷問だ。
父が日曜大工で作ってくれたおもちゃをばらすのが今の趣味になっている。
(あーあ。本当なら、今頃冒険者として荒稼ぎしてたのにな……)
2歳になって、得られなかった未来に涙を流すのだった。
終わりました。
まだまだ主人公が阿保にしか見えないのは僕だけ?
次回も読んでくださるとうれしいです。