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全ての始まり 〜side美希〜
美希の目線と健太の目線を交互に書いていきます。
まずは、美希目線のプロローグからです。
ヤバイ、倒れそう…。
その日、通勤電車に乗っていた私は、自分の体調不良を自覚していた。
朝、起きた時から体が重く、立ち上がるとふらついていた。
体温計は、若干の微熱があること示す。
これくらいで、仕事を休む訳にはいかない。
元々、貧血気味の私は、満員電車に揺られ、気分が悪くなることがある。
初めは、いつものことだと思い、気にしないようにしていた。
ところが、降車駅まであと少しという所に差し掛かった時、どうにも立っていることが辛くなってきた。
隣の学生風の男の子は、私の様子に気付き、心配そうな顔をしている。
その彼は、中々整った顔立ちをしている…、と思った所までは記憶している。
降車駅のホームに降りた私は、恐らくそのまま倒れ込んでしまった。
「…お姉さん、大丈夫…?」
遠くでそんな声が聞こえている気がした…。