キラキラと光る星とお付きの星
これは、遥か昔の出来事です。あるところに、キラキラと光っている星が居ました。その星は、周りの仲間達すら飲み込んでしまう程の美しい星です。そんな星の傍には、昔からお付きの星が居ました。
お付きの星は、遙か昔、キラキラと光る星と共に生まれた存在でした。ですが、お付きの星はとても濁った色をしていたので、キラキラと光る星の兄弟ではなく、従者の関係だと周りの星々には思われていました。
キラキラと光る星は、そんなお付きの星の事をとても心配に思って、毎日声を掛けました。
「おぅい、おぅい。大丈夫かい?」
キラキラと光る星が、お付きの星にそう尋ねると、返ってきたのはお付きの星のお返事…ではなく、全く関係の無い星々の言葉。
「なんで君は、こんな汚い星の相手をするのかい?」
「そんなのに気にしないで、僕らの話し相手になってくれよぅ。」
キラキラと光る星は、「でも…」と断ろうとしますが、お付きの星はキラキラと光る星に対し、
「良いよ、僕の相手なんてしなくて。君は、とても綺麗なんだから。皆にとってもキラキラな存在なんだから。」
と微笑んでいました。しかし、その声は何処か悲しそうです。キラキラと光る星は、「ごめんね…」と呟きながら、他の星達の話し相手になるのでした。
_それからしばらくのことです。
とてつもない速さの星が、キラキラと光る星達の元へ飛んで来ています。周りの星は、ドンドンその星にぶつかって傷付いて仕舞いました。キラキラと光る星とお付きの星は、身を寄せ合いながらビクビクと怯えていました。
「もしアレにぶつかったら、僕達は…」
「辞めてよ、怖くなっちゃうじゃないかぁ。」
お互いを励まして、怖さを紛らわす星達。しかし、キラキラと光る星達の元に、確実にとてつもない速さの星は近付いて行き…
「痛いっ!」
ぶつかったのは、キラキラと光る星ではなく、お付きの星。お付きの星の痛そうな表情に、キラキラと光る星は、悲しくなってしまいます。しかし、やがてキラキラと光る星にも、とてつもない速さの星が迫って行き…
「ヒッ!」
怖さで目を瞑ったキラキラと光る星。しかし、とてつもない速さの星は、手前で止まりました。そして、ゆっくりと語りかけてきます。
「お前、綺麗。壊すの、勿体ない。」
キラキラと光る星は、一瞬驚いた後、少し顔をしかめます。
「綺麗だから、ぶつかるのを辞めたのかい?」
「そうさ。綺麗な星は、壊すの勿体ない。お前の隣の星みたいに、凄く汚い星はいない方が良いけどな。」
キラキラと光る星の隣で、あまりの痛さで泣いていたお付きの星は、その言葉を聞くと、更に大声を上げて泣きました。キラキラと光る星は、大切なお付きの星に何をするんだ、と言います。
「何で、綺麗かどうかで価値を決められなくちゃいけないんだい?おかしいよぉ…こんなの、おかしいよっ!」
遂にキラキラと光る星も泣き始めます。そんな二つの星の様子を見ていたとてつもない速さの星は、
「うるさい、お前らうるさいっ!」
とお付きの星に、完全に壊す勢いでぶつかって来ました。
「痛いっ!痛いよぉ…」
お付きの星の痛々しい叫びからでしょうか。やがて、キラキラと光る星は、とてつもない速さの星に対してこう言いました。
「君は、うるさいのが嫌なのかい?なら、僕にぶつかってくれ!僕がぶつかって粉々になれば…」
お付きの星の怪我をしてしまったところに、キラキラと光る星の欠片が入ればきっと、お付きの星の痛みは消え、泣きわめくのを辞めるだろう。そう提案しました。
「でも綺麗な物が…」
「良いから当ててくれ!」
とてつもない速さの星は、キラキラと光る星の大きな叫びに、しょうがないな…と、素直に応じる事にしました。
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お付きの星が目を覚ますと、そこには隣にいた筈の、キラキラと光る星の姿がありません。そして、とてつもない速さの星の姿もありませんでした。
「コレは一体…?」
とてつもない速さの星にぶつけられて出来た傷を見ると、既に傷は完全に塞がっていて、逆に今までに無い美しい欠片が埋め込まれていました。そして、
「あ…」
お付きの星は、さっきの事を思い出しました。泣き叫んでいた自分の傷をキラキラと光る星は自分を犠牲にして治療してくれたのだと。とてつもない速さの星は、綺麗な物を破壊してしまったと呟いて、何処かに行ってしまったこと。
_そして、キラキラと光る星が居なくなってしまったこと。
いくら欠片でも、もう彼自身は何処にもいません。お付きの星は、その事に気付くと、再びワンワンと泣き叫びました。そして、その涙がお付きの星を水色のキラキラにしていきます。お付きの星は気付いた時には、自分の体が、とてもキラキラ光っている事に気付きました。もう、昔みたいな濁った色では無いのに。
…なのに、嬉しいはずなのに、キラキラと光る星が居なくなってしまったからか、その後もお付きの星は泣き続けました。
やがて、その星は青い星となり、生命が生まれ、地球と呼ばれるようになりました。地球は今も、彼の涙で一杯になっています。
(おしまい)




