36.リズ失踪①
アレ、私はどうしてこんな所に……というか何処なのここ??
「クシュンッ!!」
少し寒いかも。えっと、何だっけ、何があったんだっけ……確かぁ……ああ、そうよ。女生徒二人に「美味しいケーキがあるのです。リズベス様とお話してみたいと思いまして……やっぱりおこがましいでしょうか」って言われて……着いて来て紅茶を飲んだ後から意識がぷっつりない。あー……誘拐の古典的なやり方だわ。前世ではよくアニメやドラマでも、ゲームでもあったわよ。何か薬を盛られたのねー、セコイ事するわよね。でも……あの二人が全部できたとは思えない、黒幕がいるわねー……それも大物が。とりあえず部屋の中でも見てみましょうか……とはいえ、狭い。そんなにウロウロ出来るような部屋じゃないわね。うーん……毛布やブランケットみたいなのもないしー、ドアも開けられる気がしない、蹴ってみたけどビクともしない。窓はなしー……ふんふん。食べ物なんて当然ないわよね。私、こんな事をされるような事していないと思うんだけれど……攻略対象のシリウスとモブなんかが婚約してしまった事?? ヒロインのルシアとモブなんかが仲良くしてしまった事?? アルノルトとモブなんかが……もういいか。というか誘拐とかってヒロインポジなんじゃないのかな。あ、モブ誘拐される、優しい皆がヒロインであるルシアの聖女的な力を信じて私を探す、見つかる、ヒロインのルシアに皆、夢中になる……とか。あとはヒロインのルシア不思議な力、魔法に目覚めるイベントとか。そうよー、ルシアが成長するイベントがここにきて発生しているのかも。本来ならゲームでなかったイベントだけれど私が好き勝手やっていたからゲームの何かが変わって新イベントが発生……。
「あああ、ルシアの大切なイベントなのかもしれないけれどお腹すいたよー!!」
ケーキも結局食べられてないし……というか学園内でも『知らない人には着いて行かない』を徹底しないといけないの。ええ、どんな治安の悪い学園……。うーん、これはルシアに助けてもらわないと私の人生終わりを迎えるのかしら?? それはまずい。もう死にたくない。というか私がいなくなった事に気付かれなければ探されもしない……考えれば考えるほどまずいわね、そもそも私にそんなに興味ある人いるのかな……よし、もう一回ドアを……
「いったーい!! もうやだこれ、頑丈すぎなんですけれど!!」
今何時頃なんだろう、夜なら詰んでいる。
……誰も……こない。あれから何時間経ったのかしらね、え、まさか本当に私を殺す気でここに閉じ込めたの?? 嘘でしょう、最悪助けはこなくてもある程度の時間が経ったら解放されるんじゃ……なんて淡い期待をしていたのに。
■ ■ ■
「お嬢様ー!! リズベス様ー!!」
「メイリ、どうした」
「シリウス様……リズベス様が全然帰って来られないのです」
「俺も探していたんだが……やはりか」
「ちょっと、リズが何処かへ行っちゃったって事!?」
「アルノルト……リズが自分から何処かへ行くとは考えられない」
「リズ義姉さんはおかしな事するけれど皆を心配させるような事はしないよね」
「そんな……リズ様が……光の魔法で探す事などは出来ないのでしょうか」
「俺達の力ではそんな事まだ出来ないだろう……」
「でも光の魔法使える人四人もいるよ、本当に無理なのかなー??」
「ルカは出来ると思っているのー?? 僕達には無理だよ。だから真剣に他の方法でリズを見つける事考えなきゃだよね」
「閉じ込め……られているとかですかね……リズ様」
「確かに……授業が終わってから突然姿を消したんだ、何かがおかしい」
「あ、そういえば僕、最後に見た時女の子二人と一緒にいたよ。楽しそうにしていたから気にしなかったけれど」
「そんな、リズベス様に何かあったら……」
「ちゃんと助ける、メイリも部屋とかをもう一度確認してくれ」
「かしこまりました、シリウス様」
リズ……どうしてこんな……。もう日も完全に落ちている。寒くないだろうか、お腹を空かせていないだろうか。心配で堪らない。
「シリウス、僕達で絶対見つけよう」
「ああ、当然だ」
リズの事を愛している事くらいは分かりきっていたけれどリズがいないだけで皆の元気もないように見える……当然心配もあるのだろうけれどまるで火が消えたみたいだ。
「皆、リズを見つけた時そんな顔をしていたら逆にリズに心配をかける。だから……そんな暗い顔をしないでくれ」
「シリウス兄さんもね」
「あ、ああ、そうだな」
「うっ、ひっ、分かり、ました……私ももう泣きません。リズ様に心配をかけるなど……駄目です」
「とにかく二人ずつに分かれて探そう。俺とルカはこっちから、アルノルトとルシアはあっちからまわってくれ」
「分かったよ、ルシア行こうか」
「僕も分かった」
「じゃあ皆頼んだ」
絶対に見つけてやるからな、リズ。リズは泣いたりはしなさそうだけれどこれで身体を壊したりしたらと思うと心がどうにかなりそうだ。




