35.アルノルト王子とルシア
婚約解消か……まあシリウスがリズを離す訳ないし、もしもしたとしてもリズは僕を選ばないだろう。あの後少しだけシリウスが教えてくれた。リズは『シリウス様にはもっと幸福になれる相手がいる』と言っていたと。シリウスは勿論の事皆リズを愛している、なのに自分よりって……誰の事なんだ。リズが僕を選ばなかったとしてもアメリー・ルノダとの婚約解消は早めにしておかないと……。僕はアメリーと結婚する気なんてない、向こうはそのつもりだろうけれど。無理なら破棄するだけだ、それが許されるほどアメリーがしている事はあまりに酷い。
「アルノルト様」
「ああ、ルシアか。こんな所でどうした」
「私はよく来るんです。リズ様と一緒ではない時……酷い事をされるので。リズ様も嫌がらせを受けているのにあの方は強くて……私の事まで守ってくれます……なので私がお守り出来るように、強くなる為にここで魔法の練習などを……」
「そうか、僕はルシアも強いと思うよ」
「いえ、全然です。リズ様と比べたら」
「リズは心も強いからな……リズを目指すのは難しいだろうけれど頑張れ」
「アルノルト様……ありがとうございます」
ルシアも少しでもリズに近付きたいと思っているんだろう。素直に応援できる。あー、今婚約破棄なんかしたらリズとルシアにその不満が向くだろうな、それは駄目。時を考えないと僕の周りがぐちゃぐちゃになってしまう、せっかく居心地の良い場所を見つけたというのに。
「ルシアは初めアメリーの取り巻きにいたよね……」
「……はい、やっぱりアルノルト様はお許しになってはくれないですよね」
「いや、僕に許すとか許さないとか決める権利なんてないよリズが仲良くしているんだからそれが答えでしょう」
「あ……嬉しいです。リズ様はこんな私を受け入れてくれて」
確かにあの時はルシアに腹が立って腹が立ってその裏にはアメリーがいる事を知った時も本当に全員罰してしまおうかと考えた。でもリズは許した、傲慢に狡猾な思いで許したのではなくただ単純に『そこまで悪い事??』というように。アメリーには警戒しているようだけれどルシアの事はもう親友と言ってもいいほど仲が良い。いつも隣にいるので隣に座れるのは初めから一人なので争奪戦だ、は?? 婚約者のシリウスが座るべき、なんて、そんな当たり前の事誰ももう気にしていない。シリウスももう諦めている。自分が婚約者という自信だけでヨシとしているようだった。
「でもさー、僕はリズも嬉しかったと思うんだよね……」
「何が、でしょうか」
「リズはルシアと友達になれて嬉しいと思うよって事」
「そんな……私なんて……」
「ダメダメ、私なんて、なんて言っちゃ。リズの親友でしょ、胸を張って」
「ありがとうございます……アルノルト様……」
これはー……アルノルトとルシアの恋が進むイベントなの?? え、え、どういう状況。こんなのゲームでのイベントではないわよ。何を言っているのかも聞こえないし。もしもこれがイベントだとしたら私は婚約解消しなくていいって事よね!? やったわ、すすめすすめ、上手く進め。たまたまここに来てみたらアルノルトとルシアが良い感じだった……驚いたけれど覗く事にしたのだ。ほら、頬を触ったり髪を撫でたりしないの!? そんな事を考えていると二人はしっかり握手した……何、これは……何だか色っぽくないわね。んー、話さえ聞こえれば……
「きゃぁっ!!」
うう、痛い……こんなお約束な展開でバレるなんて……草むらからジリジリ近付いているとつまずいてしまっただけなのだけれど。
「リズー!!」
「リズ様」
「あー……二人とも邪魔してごめんなさい」
「邪魔、リズが邪魔だった事なんてあったっけ??」
「ありませんね」
ええ、そんな訳……完全に邪魔でしょう。
「さぁさ、リズ真ん中に座って」
「えええ、流石に真ん中は!!」
「リズが真ん中に座ってくれないと僕とルシアが……死闘を繰り広げなければならない」
「死闘!?」
「あははっ、まぁ死闘は冗談だけれど喧嘩になっちゃうから~はい、どーぞ」
「うう……はい。ルシアもいいの??」
「え?? 良いと言うかそうしてもらわないと困りますね……どうぞ」
何なのこの二人!! ちょっと怖いし。まぁとりあえず座ろう。
「リズは何しにここへ??」
「いや、なんとなく歩いていてー……二人を見つけて……」
いやいや、覗き見していましたって言っているようなものじゃない。
「あっ、いや、その……」
「リズ様」
「ひゃいっ」
「迷われていたのですね……そんな所もお可愛いです」
「そうだね~、可愛いよねリズは。何をやっていてもね~」
本当にこの二人頭でも打ったのかしら、あ、いや、ゲーム内で私が好き勝手しているからバグが生じているのかしら。私のせいなんだけれど……。
「二人とも体調とか大丈夫!?」
「え、何がだ、大丈夫だけれど……」
「私も大丈夫ですが。まさかリズ様の体調が悪いのですか!?」
それは、早く医務室へ……ふわっと身体が浮いたかと思うとアルノルトに抱き上げられていた……。
「ひぃぃっ」
「急いで連れて行くから」
もぉぉ、恥ずかしいよぉぉぉ!!
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