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23.ルシア・リッターの気持ち

 私が道を外した時に手を差し伸べてくれたリズ様が、私は大好きだ。好きという感情では伝えきれないくらい……この温かくて、でもソワソワする心は何なんだろう。あの日……


「あなた、私の取り巻きに入りなさい」

「アメリー・ルノダ様……あの、それは……」

「何?? お断りになりますの??」

「いえ、あの、何をするのでしょう……私、こういうのに慣れていなくて」

「私が指示する事をすればいいだけですわ」

「指示……」


 お友達とかではないって事よね……分からない。下っ端とかそういう事??


「不満そうね」

「いえ、そういう訳ではないのです」

「そう、じゃあリズベス・ナイトハルトの教科書をぐちゃぐちゃにしていらっしゃい」

「え!? リズ様の!?」

「ええ、何?? 私は傷付いているの。シリウス様という婚約者がいながらアルノルト様とまで仲良くして」

「でもシリウス様とアルノルト様が仲がよろしいから自然と――」

「口答えしない!!」


 急に平手打ちされて驚いた私はもう何も言えなくなっていた。ただただ怖かった。あんなに良くしてくれたリズ様に……嫌がらせをしろって事よね。嫌われたくない、嫌われたく……ないのに。


「はい、分かりました」


 そう、答えていた。私は我が身可愛さにリズ様を傷付けようとしているのだ。最低だ。

 リズ様達が席を外した時私は命令されていた教科書をボロボロにした……リズ様がソレを見つけた時とても怒っていたしシリウス様とアルノルト様が心配していた……コレ、逆効果なんじゃ、私はそう思った。なので勇気を出した。


「アメリー様、リズ様に嫌がらせするのは逆効果なのではないでしょうか」

「は?? 私を馬鹿にしているの??」

「いっ、いえ……失礼しました」

「またやっておきなさい」

「え!? また教科書をですか」

「そうよ、一回目よりもっとビリビリにしてやりなさい」


 もう嫌だ、そんな事やりたくない……。


「何?? 出来ないの??」

「あ……」


 また叩かれると思って反射的に答えてしまった。


「出来ます」

「そう、それでいいのよ」


 放課後、リズ様が忘れて行った教科書を見つけたので今なら気付かれない、私だってバレない……なんて、よくこんな酷い事を考えられるのか自分の事が物凄く嫌になる。こんな私、嫌い、こんな自分、大嫌い。その時だった、たくさんの声が重なって三方向から人が近付いてくる……バレた事の恐怖と止めてくれた事への安心感……誰……リズ様!! それにシリウス様とアルノルト様……。

 叱られたけれどリズ様にお友達になろうと言われた……夢かと思った、確かに私の今回のミスでアメリー様の元へは戻れないだろう……でもこんなに酷い事をしてしまった私に取り巻きではなくお友達に……対等な立場になろうと言ってくれている。こんなにお優しい方を傷付けて、私は何をしていたのだろう。シリウス様とアルノルト様はリズ様の言う大体の事は受け入れているように見えた。疑問を言ったとしても最終的にはリズ様を信じている。凄い、こんなに凄い方とお友達なんて……。さぁ、私も前に進まなければ。


「アメリー様、失敗しました。見つかってしまいました」

「はぁ?? 誰に」

「リズ様とシリウス様……そしてアルノルト様です」

「あなた……私の名前出していないでしょうね」

「知っていましたよ、皆さま」

「クッ、この役立たず!!」


 また平手打ちされたけれど私はもう何も怖くなかった。


「何よその目!!」

「いえ、でもこんな事していても……アルノルト様はどんどん遠くなるばかりだと思います」

「平民が……なんて口のきき方……許さない。もう取り巻きには入れないから一人でいてイジメられておきなさい」

「戻るつもりなんてありません。では失礼します」

「生意気な女っ」


 その吐き捨てられた言葉を背にリズ様の元へ向かった。


「リズ様、これでやっとお友達になれます」

「頬、赤くなっているわ。戦ってきたのね、凄いわルシア」


 私は……初めからリズ様のお傍にいたかった……けれどそんな事恐れ多くて言えない。リズ様は私の頬を撫でながら「頑張ったわね、痛かったわね」とずっと励ましてくれた。勇気を出して初めからリズ様の元にいればあんな嫌な事せずに済んだのに……なんて、言われた事だとしてもやったのは私、私が本当に罪から許される事はあるのだろうか。ただ許されたとしてもその罪が消える事は一生ない。平民である私がリズ様の為に出来ることなどないに等しい……私はきっと好きとか大好きとかのレベルではない……リズ様を愛している。だからこそ守れるなら守りたい。

 最近リズ様に近付いてくる生徒会のクラウス・バーベリ様、私は今あの人を遠ざけたい、シリウス様もいい気はしないでしょうし……お二人の為に。


「クラウス様どうしたのかしらねー」

「リズ様があまりにも可愛いので仕方がないのかもしれません!! でも私がお守りします」

「ルシア、いいのよ。危ない事しないでね」


 いつでも自分の事より周りの人の事ばかり考えている……そんなリズ様を傷付ける人は絶対に私が許さない。

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