16.アルノルト王子の本音
ああーもう、本当にどうしよう……
「取り巻きはいないのですか??」
よく分からなくなってなんか普通に聞いちゃった。
「いないわよ、ただ、今はいないだけよ」
「そうですか……」
一人で立ち向かってくるのはなかなかやるじゃない!! ライバルとして認めてあげるわ。私も私でどうしてこんなに上から目線なのかしら。相手は侯爵令嬢だというのに。
「何かする気ですか??」
「シリウス様と婚約解消しなさい」
「それは出来かねますね」
「はぁ?? お父様も怒っているのよ!!」
「でもシリウス様が許可してくれるか分かりませんし」
「ふっ、はははっ!! シリウス様が愛しているのはこの私なんだから出来るに決まっているでしょう!?」
「もーまた絡まれてる~リズ~」
「心配で追いかけて来てしまいました」
「リズ、大丈夫か」
「何もされていませんわ」
「な、なんですの!? そんなにたくさん……卑怯ですわよ」
卑怯も何も……つっかかってきたのはそっちでしょう。
「シリウス様はフレール様を愛しておられるんですか??」
「俺がリズ以外を愛する事なんて……ありえない。死んでもリズを愛し続ける」
「シリウス様……嬉しいです、ふふっ」
「他の女性を愛しているだなんてもう思わないでくれ、リズ」
「はい。フレール様?? お聞きになりまして??」
「何か弱みでも握られているのでしょう?? ねぇ、シリウス様」
「君と違って俺に弱みなんてない」
「弱みはリズの事全般だよね~」
「アルノルト、またリズが狙われたらどうするんだ」
「君ね、えー、フレール嬢。シリウスにどんな手使っても無駄だし僕もいるからリズを消すこともできないよ。分かったら二度と手を出さない事だね……あ、ちなみにコレ、忠告ね。破ったらどうなるか……ね??」
「ひっ、す、すみませんでした……」
フレールはそのまま少し固まっていたかと思ったら凄い速さで逃げて行った。うん、王子様凄い!! シリウス様もかっこいい!! ルシア心配してくれてる!! モブにしてはいいお友達を見つけられたわね。でもなー、どうしてこんなにゲームのメインキャラばかりがお友達になるのかしら?? フレールに関してはもうゲームと全く違う相手をイジメようとしていたし……。私……モブ、だよね?? もう分からない。例のヒロイン乗っ取りかと思った時は焦ったけれどヒロインはルシアのままのはず。だってメアリーにイジメられるイベント発生したし。そういえば……あの時、会長来なかった……やっぱり私が生徒会に選ばれたからフラグ立たなかったんだわー!! ほ、他の人と幸せになって。ルシア。
■ ■ ■
僕は今、とても楽しい。親友シリウスとその婚約者リズ、そしてリズの友達カウリーさんと昼食も生徒会でも一緒で笑いが絶えない。ただ……幼い頃に婚約したアメリー・ルノダに困っている。愛などないはずなのにカウリーさんに嫉妬しているようだ。リズにも敵意があるみたいだけれど何故か怒りのほとんどはカウリーさんにいっているように見える。シリウスが怖いのか?? 正直シリウスが羨ましい、あんなに愛する人と、愛してくれる人と、婚約出来て。本音を言うと僕が先にリズと出会えていれば……なんてシリウスを裏切るような事を考えてしまう時もある。シリウスに嫉妬し、祝福している。どちらも僕の本当の気持ちだ。リズは少し変わっている、僕が言うのもなんだけれど……強くて優しくて楽しい、でもどこか脆くて、強がっていて、悲しそうだ。僕の軽い態度や言動も結構軽蔑した目で見られる事も多いのにリズは初めから僕の本当の気持ちを見透かしているようだった。正直初めは居心地が悪かった。それはそうだろう、隠している物の場所がバレている感覚だ。ある日の事だ……
「なぁシリウス、お前リズの事怖くないか??」
と聞いた事がある。怒られるか、もしかしたら殴られるかもって思った、けれど
「ああ、怖いさ。でもリズはこちらが触れられたくない事には見て見ぬふりをしているようで、辛いときには少しの言葉をくれて後は傍にいてくれるんだ……僕にとっては聖女なんだよ」
「聖女……言い過ぎではないか??」
「ふふっ、アルノルトにもそのうち分かるさ」
「え?? そうか??」
「あ、でも俺の婚約者だからな」
「分かってるさ」
なんて話したのに。まんまとハマった、リズの事をきちんと知ったら本当に居心地が良かった。まさか自分にこんな気持ちがあるなんて思ってもみなかった。
「リズをくれないか」
なんて馬鹿な事を言った時は流石に説教された。シリウスに。殴らなかったアイツは大人だったんだ。
「リズは物ではないし……まぁ、リズがお前がいいと言ったとしても説得する、かな」
「説得って……怒ったり縛ったりはしないのか??」
「リズには通じない。リズが『こうだ』と言えばリズはその通りにする、俺からの婚約も俺が公爵家だから了承した訳じゃない。リズは自分が気に入れば平民も王族も関係ない」
「それは……なんとも難しいお姫様じゃないか??」
「それが楽しいんだよ」
あの会話は間違ってなかった。
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