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嬉しそうに恋バナをしゃべる君

作者: かこみらい

「あれ?僕同棲だけはまだしたことないって言いましたっけ?」

はあああ!?なにそれ!そんな話初めて聞いたよ。

イケメンの整体師に身体のメンテナンスを任せて4か月。読んだ本の話、世の中の不条理について語るうちに私は恋に落ちた。

「恋人とかいるんですか」聞きたかったけど、それは好きだってバレバレになってしまうので敢えて話題に出さないでいた。

それなのに!

「逆ナン?されて仕事より忙しいんですよ。」

えーーー!私は笑うしかない。

「僕がスィーツ好きだってみんな知ってるから誘ってくるんですよ」

こいつ、皆に同じこと喋ってるのか?

でもモテるのはしょうがない。だって職業柄か姿勢が良いし顔も美しい。なんたって素直でかわいくて全身から光を放っているような人だもの。

「同い年か年下としか付き合った事がないんですよねー」

おいおい複数かよ!

「今度は年上と付き合いたいんですよ〜」

へえ、年上ねえ。

え?

年上?

年上ってもしかして私入ってる?

「僕が付き合う人ってクセのある人ばっかりなんですよ、普通の人がいなくて」

「例えば1人はひどいんですよ…」

彼の恋バナは続く。

でも私の心の中では冷静人と熱っいマンが戦い始めた。

年上と付き合いたいって言ったよね。もしかして私のこと?

いやいや何歳だよ。恥ずかしい。私が範囲に入ってるわけないやん。

でもわざわざ年上って、遠回しに誘ってる?

圏外だから、のうのうと自分の恋バナ話してるだけだよ。


時間が来て、次の予約を取る段になった。

「佐藤さんと会うのいつも2週間先だからそれまで色んなことあり過ぎちゃうんですよね」

え?私に会うことを意識してる?

「なんて言って2週間後に年上の恋人出来てたりしてハハハ」


違うやん!やっぱ違うやん!

私関係ないじゃない。

まったく思わせぶりなハナシしちゃってさ!





でも好きだから許す。

うーんと年上の超圏外の、恋愛関係とは無縁の私が君の恋バナをずっと聞いてあげるよ。

たからすっと私の整体師でいてね。



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