表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

第7話:一番星に願いを

あれから、数週間が過ぎた。夏目栞は、いつもの公園のベンチに座り、スマートフォンの画面を眺めていた。イヤホンからは、虹乃そらの新しい歌が流れている。あの日の配信以降、彼女はまるで吹っ切れたように、以前にも増して輝きを増していた。


『そういえばね!』配信中、そらが楽しそうに切り出した。『この前の誕生日配信で、すっごく嬉しいことがあったんだよ!レンさんっていうファンの方がね、昔の小さな約束を、ちゃんと守ってくれたの。その方の言葉が、私にとって何よりのお守りになったんだ。だから、私もみんなとの約束を守る!最高のアイドルになるっていう、約束をね!』

力強く宣言するそらの姿に、栞はそっとスマホの画面を撫でた。

「良かったな、蓮」

空を見上げると、日が暮れたばかりの藍色の空に、ひときわ強く輝く一番星が見えた。それはまるで、ここからでも推しのステージが見える特等席で、蓮がサイリウムを振っているかのようだった。


栞は、くすりと笑うと、イヤホンのボリュームを少し上げた。流れ出したのは、蓮が死の直前に聴いていた、あの新曲だった。力強く、そしてどこまでも優しい歌声が、栞の心を温かく包み込む。


一番星に願いを。彼の想いは、確かに星になった。そして、その星の光に見守られながら、天使はこれからも歌い続けるのだろう。誰かの心を照らす、希望の光として。

栞は夜空に向かって小さく手を振ると、そらの歌を口ずさみながら、家路についた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ