表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世詐欺にはご用心!  作者: チョコころね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/7

2.王城で待っているひと


 街は森林地帯を背に扇形に開かれていて、王城はその中心にあった。


 この国は、大陸諸国のご多分に漏れず、幾つかの内外危機を経てきたが、今は割合落ち着いている。

 王様は、現在6代目。

 可もなく不可もないというのが、もっぱらの噂だ。


 組合の仕事に王城からのものがあるのは、リュージュも聞いていたが、何も言わずに、こんな場所に連れてこられた事には怒っている。

 だが、今更抗議しても遅いのも分かっている。

 流されることなく、馬車に乗る前に問い質すべきだったのだ――出来るなら。

 組合長に、腕っぷしは当然としても、口でも勝てたことのないリュージュは、大人しくその後をとぼとぼついて行った。


 彼らを待っていた若い侍従に案内された場所は、平均庶民のリュージュ基準で見て、『めっちゃ豪華!』な応接室だった。

 初めて入った時は気後れした、組合にあるお貴族様用の貴賓室だって、これに比べれば安宿のエントランスだろう。


(王城だから……この国で一番金と人の手が掛かった場所と思えば、当然ではあるのだけど)


 歩いて来た回廊も広く荘厳だったが、薄暗かったので、そう気にはならなかった。

 しかし、ここは窓から光が差し込んでおり、壁紙も調度もよく見える。


 ほぇー…と見惚れているリュージュに「こっちだ」との声がかかる。

 あわてて組合長の後に付いて、部屋の中心にあるソファセットに近づくと、すでに男性が一人座っていた。


「お待たせして申し訳ありません」

「いや、急ぎで呼んだのはこちらだ……受けてもらって感謝する」


 頭を下げる組合長と一緒に頭を下げ、上げると、とんでもなく整った顔が目に入った。

 艶々の真っ直ぐな紺色の髪と、神秘的な紫水晶の瞳――この部屋が『めっちゃ豪華!』なら、目の前にいる男性は『信じられないくらいゴージャス!』なイケメンだった。


(うわ!目がチカチカする…)


 ……あ、この美形は知ってるぞ。いや、まさか……

 リュージュの記憶が激しく刺激された。


「リュージュ、お前も座れ」


 気が付けば、組合長はすでにイケメンの向かいのソファに座っている。


「は、はい!」


 組合長の隣に座ったはいいものの、顔を上げないリュージュに、美青年は普通の口調で言った。


「楽にして構わない、こちらは仕事を頼む立場だ」


 そうは言われても、こんな展開予想してない。

 ちなみに『イケメンは声もイケメンなんだな』、とリュージュの頭のどこかでは、余計な情報が書き加えられていた。


 頭の中は花火大会の雑踏のような状態で、リュージュは、己が倒れてないのが不思議だった。

 なのに隣の銀熊は、呆れたように言う。


「お前も、殿下の前では緊張するんだな。ほら、挨拶!」


 予想通り、目の前にいるのはこの国の第二王子殿下だったが、リュージュの隠された記憶にある彼のポートレートには、別情報がでかいラベルで貼られている。


『攻略対象者:クール担当』


 リュージュはそれを、気力を振り絞って頭の隅に追いやると、カラカラに乾いた口を開いた。


「お初にっ、お目にかかります。リュージュ・ネイビー、冒険者組合所属の魔術師で、階位はBマイナーです」

「ランヴァルドだ」


 ――知ってます。前世から。


 元・婚約者のような『世迷い言』が飛び出しそうな口を、ギュッと閉じて、リュージュは深々頭を下げた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ