249話 調停ー6
竹林の中
光る三つの刀
倒壊する竹林
「貴様らはその刀を持つに値しない」
「無礼だと思わないのか」
相対する緑天とカムナギ、シンラ
2人が持つ緋色と蒼色の刀を睨む緑天
「無礼も何も師匠から受け継いだ刀、お前に何を言われる事もない」
「そうだろカムナギ」
「あぁ、この刀でお前を殺す」
「それが師匠から刀を受け継いだ意味」
風吹く竹林の中に練り上げる魔力
風と炎を纏う刀を振り上げる2人、碧緑の刀を持つ緑天
【刻印・万羅】
【龍刀・覇風羅】
【鬼刀・閻炎魔】
ぶつかり合う刀
カムナギとシンラは呼吸を合わせ切り掛かる
緑天は心臓部に灯る緑の炎を刀に流し刀身を範囲を拡大
一振りと二振りの攻防は拮抗し竹林の中を突き進む
「行くぞ!!」
【灼渦旋風】
カムナギとシンラの刀を重ね合わせると間に凝縮される波動
二人が同時に振り抜くと炎と風の力が生み出され緑天を吹き飛ばす
竹林が倒れながら緑天を押し潰す
「腕を上げたなカムナギ」
「お前もな」
前方に倒壊する竹林
構える二人の前に立ち上がる緑天
技を受けた緑天の左肩は丸く抉られていた
「まぁ……ここに来るという事は選定を終えたという事」
「傷を負っても不思議ではない」
「死にたくなかったら大人しく寝ておけよ亡霊」
「ふざけるな……千年を待ち、体を修復した」
「今更死を恐れると思うか」
緑天の周囲に浮かぶ紫の波動
碧緑の刀を頭上に掲げ、心臓部にある緑の炎を全身に巡らせる
「貴様らが持つ刀は我の師匠達が持っていた刀」
「今この場で身もろとも壊そう」
【彼岸・瞑盲三千】
緑天の顔に刻まれた傷が肥大化し灰色の髪が逆立つ
皮膚は浮かび上がり帯と化し体を覆う
手に持つ碧緑の刀は光緑の線が走り異様な波動を放つ
「ははは……これを敵と言えるのか」
「化け物だぞ完全に」
笑うシンラの横に刀を構えるカムナギ
「ここから常に力を高めないと死ぬぞ」
「限界を越え続けるしかない」
「そうだな」
ー真価ー
「開門」「三途」
【廻龍門・六道】
【閻獄天鎖・道半】
龍の覇気を纏う緋色の刀
開門され力を巻き上げる昇龍
炎の覇気を纏う蒼色の刀
格子状に舞い上がる炎と身に宿る煉獄
「我に攻撃を当てれるか疑問だな」
【釈然反蝸】
緑天が刀を掲げると空が暗くなり視界が閉ざされる
シンラが持つ炎刀の光さえ暗闇に消える
その暗闇の中に響く鋼鉄の音
シンラは目の前に来た斬撃をかろうじて弾く
「鬼刀、貴様は場にそぐわん……身を履き違えるな」
「な……」
シンラの顔にかかる鮮血
自身の体に傷はなく、だが目の前に居るのは弟弟子の姿
「カムナギ、なぜ庇う」
「シンラ……お前の一撃が必要だ」
「俺が道を開けるから合図で振れ」
暗闇から聞こえる声に自然と刀を構えるシンラ
何も見えない中に確かに感じる信頼
かつて別れた兄弟分が言った言葉を信じ鬼刀に全てを込める
聞こえる斬撃音、飛び散る血液
だがシンラは気を落ち着かせる
「師匠……力を貸してくれ」
鬼刀に宿る炎の渦
両手で構え暗闇の中にいる緑天を定める
……
「今だ!!」
【先鬼道洛!!】
鬼刀より放たれた炎の螺旋
暗闇を照らしながら進む炎は全てを燃やし突き進む
刀を振ったシンラの手に感じる手応え
「カムナギ、やったのか」
「いや……まだだ」
暗闇が晴れると皮膚から出血したカムナギが立っていた
地面に落ちる葉には大量の血
それを覆うように焼き焦げた跡が広がる
「まだって……手応えはあったぞ」
「相手は人智を超えた化け物だ」
「今はの表面を削ったまで、これから命を狙いに行く」
「よくわかっているでは無いかカジャクの末裔よ」
「我は神に天罰を下すために生まれた存在、貴様ら下等な生き物の攻撃に負けるはずもない」
緑天の体は依然として緑の炎を纏う
シンラの一撃で浮いた皮膚が剥がれ落ちその漆黒の本体が剥き出しになっている
「シンラ……また準備しておいてくれ」
「俺がやつを止める」
「お前……そんな体で出来るのかよ」
「出来るに決まってんだろ、この時のために今まで修練していた」
「是が非でも役目を果たす」
竹林に響く音階
竹は揺らめき擦り合う事で音を奏でる
風が舞い血染めの葉も綺麗に大気の中を泳ぐ
「遅くなって悪かったな」
「今すぐに殺してやる」
「虚勢でなければ良いがな」
向かい合う2人の極地
カムナギの刀が緋色に輝き刀身に龍の紋様が浮かび上がる
【英雄賛歌】
ー{白代龍・外様}ー
「逃げるなら今の内だぞ、緑天」




