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200話 大地ー13

「ここでも逃げてばかりなのか!!」

「ゆずりさん!!」


天啓てんけい


目の前に走る黒い雷

かろうじて二つの刀で弾くが一回弾くたびに腕全体に走る痛み…しかも本当に痛い奴

貿易要所で出会った黒騎士、知らぬ怒りを向けられ終点を横断中

今どこら辺にいるかもわからないほどに…思考を戦闘に集中させなければ死ぬ


「どうした!俺は本気で殺すぞ!!」


なんの決意表明だ…と思う暇も無く感じる死の予感

金色に輝く天剣てんけんをふるたびに飛び出る雷の派生攻撃

さっき改造種エスターに当たった瞬間に体が一瞬で焼けてた…だがその効果は建物や地面に表れていない

おそらく生き物を殺すためだけの剣…何が天剣だよ


「お前何者なんだよ!」


問いかけは刀の鉄音にかき消される

風景が高速に流れる中、俺は神として与えられた剣技を二つの刀で再現する

隙も拙さも無い程に完成された剣技…だがそれを一つの剣で受け流す黒騎士

体のあらゆる部位を刀が最速で振れるように崩しながら戦う、本来常人であれば一つの所作で体が壊れてしまう程に卓越した剣技……のはず

だが金色の剣がそれを抑え、反撃までに及ぶ

天剣が頬をかすめ血が吹き出る


「誰……」

!!


少し間が空いたと思った瞬間に黒騎士の剣が懐に振り抜かれる

話し合う時間も与えてくれないわけか

なら…


【冥域・復活リザレクト

臨界りんかいひね


!!


黒騎士が俺の周りに出現した黒い輪を見て後退…やはり攻撃が通じないと言うわけでも無いのか

復活リザレクトで呼び出した二振りの刀

霊刀と秘刀は感覚で俺が呼び出せる武器の中でも最上級に位置するとわかる

その二つの臨界を混ぜた奥義…実はやってみたかったけど試す相手がいなかったが今がその時


黄泉軍戦よもついくさ


「それがあなたの全力ですか、ゆずりさん」


俺を囲む黒い円線

霊刀と秘刀を中心に黒い円形の扉が開く

その内側の地面は黒く腐食し様々な形の刀が浮き出る

頭上には人を数十人は優に捕まえられる程に大きな骨の手


「名前を教えてくれよ、殺す前に知っておきたい」


……


無視か…まぁいいや


骸腕こつかいな


頭上の巨大な腕が黒騎士に鉄拳を振り下ろす


「剣がダメなら範囲攻撃ですか…」

「ぬるい!」


黒騎士の一振で骸腕が崩壊した瞬間に目の前に現れる金色の剣…骸腕も相当な重量なはずだったのに

手元に刺さっていた刀を引き抜き応戦、どうしても剣に持っていきたいのか……だがさっきまでとは違う


「そんな剣で戦いたいのか……お前は」


振り上げた刀が金色の剣を返し黒鎧に一太刀

やっぱこの黒騎士もデバフは効くのか

黒い円内では自分の基礎能力は跳ね上がりその他全ての生き物の基礎能力は半分以下まで落ちる


「わざわざ入って来て死ぬなよ」


顔が見えなくても焦りが見える

剣さばきもさっきより遅い、ここで決める……何より時間が無い

俺達は終末点を殺しに来たのだから


腐樂ふがく


右手に持つ刀の刀剣が黒い妖気に包まれ空気を汚染しねじれる

相手が範囲攻撃なら俺は更に大きく囲えばいい

首は取れなくとも致命傷は負わせてやる!


「本当にあなたは……強い方だ」


後天こうてん


隙をつき刀が黒鎧を溶かした瞬間、視界が半分消えていた

瞬きする間…それよりも速い次元の出来事

皮膚に伝う暖かい液体と片目に映る左手……左手?


「がっ……」


何が起きた…視界が暗くなったと思ったら倒れていた

視界は赤色の空…それより黒騎士はどうなった

……


「お前……本当に誰なんだよ」


上体を起こすと自分の失った左腕や落ちた片目などは気にもならない程に強烈な光景

目の前の黒騎士の鎧が剥がれ中身が現れた


「お前……女だったのか」


下ろした金髪に青い瞳、胸がはだけ左腕から血が吹き出る

どっかで見たような気がしないでもない


「見られてしまったのなら仕方がない、あなたは女に本気を出さないのですよね」

「でも手加減はしませんよ」


だるい体で無理矢理立ち上がる

黒い円線は消えてないか…


「君……俺と会ったことあるのか?」

「君の顔を見た事があるような気がするんだ」


……


女は凛とした目で俺を見つめる


「私の名前は「アーサー」」


アーサー…めっちゃ聞き馴染みがある名前

「もしかして円卓の騎士とかあるのか?」

俺のいた世界のアーサー王と関連があるのだろうか


……

「無い」

……


無いそうです


「戦いは終わってない」


黒の鎧は液状化し彼女の体を覆い白銀の鎧へと変化する

ボス戦ならステージ2

てことはもっと手強くなるのか


天剣てんけん天柩あまひつぎ


武器の名前を呼ぶと剣から暴れ出す黒い雷

金髪が風に揺れ白銀の鎧が光り輝く……その姿はさながら絵本で見た「騎士王アーサー・ペンドラゴン」


「分かった、君の気が済むまで戦うよ」

「でも殺しはしない…諦めるまでねじ伏せてやる」


黄泉軍戦よもついくさ

ミカド太刀タチ


霊刀と秘刀は門を開く鍵

門が開くと冥府の軍戦が使った武具がこの世に顕現する

その中でも冥府のミカドが使ったとされる刀

漆黒の刀身、柄に巻かれた巻物と散りばめられた星は見る相手を光で焼き尽くす


「ゆずりさん…私、強いですか?」


張り詰めた緊張の中、唐突に投げかけられた平凡な質問に脊髄で話してしまった


「まぁ、今の所1番強い……かな」


彼女はうつむき何かを噛み締めるように剣を握る


「なら良かった、この世界に来た意味がありますよ」


……この世界?



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